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食品中の有害物質
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食品中の有害物質
1)動物医薬品及び飼料添加物(残留医薬品
a.抗菌性物質(抗生物質及ぴ合成抗菌剤)
- 食肉・乳・卵などに移行し残留することがしぱしば問題になる。
- 危険性として
- 1抗菌性物質それ自体による有害作用
- 2病原菌の耐牲獲得
- 3アレルギー反応(ペニシリンショック)
- 4菌交代症現象(カンジダ症、モリニア症)
- 5発癌性物質
- cf.乳などは抗生物質を含有してはならない。
- 筋肉内に注射したときには注射部位に長時聞残留し、「苦い肉」の原因となる。
b.その他
2)残留農薬
a.ヒ素系農薬
- ヒ素鉛、ヒ素石灰は毒物に指定
- 大量に接種すると胃痛、嘔吐、下痢、腎障害
b.有機塩素系農薬
- DDT,BHCは販売禁止
- アドレナリン、ディルドリン、エンドリンは適用
- 頭痛、嘔吐、めまい、食欲不振
c.有機リン剤
- パラチオン、メルパラチオン、テップの使用禁止
- 嘔吐、発汗、流涎、流涙
- 治療薬:PAM、アトロピン
- AChE活性阻害
d.その他
- 有機フッ素剤:モノフルオロ酢酸ナトリウム
- カーバメイト剤:AChE活性阻害→治療薬はアトロピン
3)カビ毒(マイコトキシン)
- 真菌(カビ)は、それ自体には不必要な代謝産物を合成(二次代謝産物)することがあり、この中には人や動物に対して有害な作用を及ぼす生理活性物質(マイコトキシン)がある。
- マイコトキシンによって起こされる人や動物の食性病害を、マイコトキシン中毒症または、
Mycotoxiosis、真菌中毒症、真菌性食中毒と呼ぶ。
- マイコトキシン中毒の特徴:
- 炭水化物に富む農産物(米,麦,とうもろこし)を培地として発育(マイコトキシン産生菌)
- 汚染物を摂取すると慢性の食性病害にかかることが多い
- 発生には季節の関連性がある
- 感染はしない
- 抗生物質は効果なし
a.アフラトキシシ(七面鳥X病の原因菌)(B群,M群,G群)
- Aspergillus flavas、A.parassticusの特定株によって産生される、発癌性の最も強い化学物質→標的臓器は肝臓(肝臓癌,肝炎)
- 汚染を受けやすい農産物:ピーナッツ、トウモロコシ、穀類
- 耐熱性、胎児毒性、催奇形性
- 毒性が強いのはアフラトキシンB1
b.ステリグマトシスチン
- 主にA.versicolorによって産生される。
- 汚染を受けやすい農産物:コメ、ムギ、ソバ、トウモロコシ
c.ルテオスカイリン
- Penicillium islandiumによって産生される。
- 肝臓に対する急性中毒。肝臓ガン。
d.シクロクロロチン、イスランジトキシン
- P.islandicumによって産生される。
- 肝小葉の空胞変性、壌死。
e.トリコテセン
- Fusarium属によって産生される。
- 汚染を受ける農産物:麦類
- 下痢、悪心、胃痛、流産など。
4)重金属
- 有機水銀→水俣病
- カドミウム→イタイイタイ病
- 鉛・水銀・ベリリウムなど。
- 生物濃縮:生物体内に蓄積しやすい物質(有機塩素化合物・有機水銀・カドミウム・鉛など)が食物連鎖の過程で濃縮されることを言う。→毒性が高くかつ分解されにくい物質は、環境中の濃度が極めて低くても、公衆衝生面で重大な結果をもたらすことがある。
5)その他の有害物質
a.ニトロソアミン
- 食品中に含まれる第二(低級)アミンが、発色剤としての亜硝酸と硝酸と結合することにより形成する。発癌性・強い変異原性あり。
- 日本では、タラコがアミンを多く含んでいるため、亜硝酸の添加によってニトロソアミンを形成しやすいので、亜硝酸塩・硝酸塩ともに添加することを許可されていない。
- 第2アミン(肉・野菜・魚卵)+発色剤(亜硝酸塩)→ニトロソアミン
b.過酸化脂肪
- 油脂を用いて加工された食品は、空気・光・熱などの酸化作用によって過酸化物を形成する。
- 原因食品は即席ラーメン、店晒しにされたクッキーなど。
c.その他
- 有害な食品添加物
- 有害甘昧料(ズルチンなど)
- 有害着色料(すべての塩基性水溶性タール色素、すべての中性水溶性タール色素)
- 有害保存料(ニトロフラゾーン、ホルムアルデヒド、サリチル酸)
- 有害殺菌料(AF2)
- 熱分解生成物
- トリプトファン、グルタミン酸などのアミノ酸加熱⇒熱分解物質(発癌性)
- 食品製造過程における有害物質の混入
- ヒ素入り粉ミルク事件
- PCB混入カネミ油症事件
- 容器、包装からの溶出
- 金属製容器(スズ、カドニウム)
- プラスチック容器(ポリエチレン)