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「腎臓での水分および酸・塩基平衡」の版間の差分
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(ページの作成:「== 水分平衡 == === 水分欠乏時 → 濃縮尿 === *高張性の髄質間質の形成 **髄質における浸透圧活性物質の再吸収 **直細血管から...」) |
(相違点なし)
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2016年2月24日 (水) 06:31時点における版
目次
水分平衡
水分欠乏時 → 濃縮尿
- 高張性の髄質間質の形成
- 髄質における浸透圧活性物質の再吸収
- 直細血管からの水の除去
- ADH (バソプレッシン:抗利尿ホルモン)分泌増加
水負荷時 → 低張尿
- 上行脚と遠位尿細管による尿細管液の希釈ADHの分泌低下
各尿細管での水の再吸収
- 近位尿細管 ~70%
- ヘンレ係蹄約 約15%
- 遠位尿細管曲部 約5%
- 集合管 ~10%
近位尿細管
- 受動的な水の再吸収、AQ1
- Na+の再吸収→Cl*の受動的再吸収→毛細血管の高 い膠質浸透圧(毛細血管側に高い水を引っ張るポテンシャルがあると言う事)+尿細管の低い静水圧→水の再吸収
ヘンレ系蹄下行脚
- 受動的な水の再吸収、AQ1
- 直細血管と協調して対向流増 幅系を形成
ヘンレ系蹄上行脚
- 溶質のみの再吸収によって、間質浸透圧が上昇
遠位尿細管
- 曲部で吸収
集合管
- 集合管の水と尿素の透過性はADHによって変化する。AQP2=ADH感受性
尿素の役割
- 髄質錐体における浸透圧勾配の形成
- 集合管での濃縮された尿の生成
- 濾過された尿素の約50%に相当する量が、集合管 → 髄質間質 → 遠位尿細管の間を再循環している ⇒ 腎内再循環
- 近位尿細管
- 受動輸送で尿管外へ出る(30~40%)
- ヘンレ係蹄下行脚
- 尿素の分泌
- 髄質内帯集合管
- 間質液へ出て高浸透圧に寄与→ ADHによってこの働きは促進される
利尿
ADHの分泌抑制(水利尿)
- 多量飲水→尿量増加:水利尿
- 全血液量増加 →心房の体積受容器
- 血圧上昇 →動脈圧受容器(大動脈弓、頚動脈洞)
- 血液浸透圧低下 →視索上核の浸透圧受容器
⇒ 下垂体後葉からのADH分泌減少 ⇒ 水の再吸収抑制
浸透圧利尿
- 再吸収されない溶質が尿細管内に多量に存在 → 尿浸透圧が維持される
→ 尿の再吸収が妨げられる → 尿量が増加する
浸透圧が大きく再吸収されにくい物質(マンニトール、キシロース、スクロース)、多量の NaCl、グルコース、尿素を血液中に入れることによって起こる。
利尿剤の投与
- 水銀 ⇒ 近位尿細管を障害 : 再吸収阻害(腎臓毒)
- カフェイン ⇒ 血管拡張 : 濾過面積の拡大
- 強心剤 ⇒ 強心利尿作用 : 腎血流量の増加
- フロセミド・ブメタニド ⇒ ヘンレ係蹄上行脚でのNa+、K +、CL*再吸収を阻害 →
- 対向流機序阻害 → 強力な利尿作用
- サイアザイド系 ⇒ 遠位尿細管近位部でのNa+、 CL*の吸収を阻害
酸塩基平衡
- 酸の排泄
- 近位尿細管、集合管
- 重炭酸塩の排泄
- 集合管
- 重炭酸塩の再吸収
- 近位尿細管
酸の排泄&重炭酸塩の再吸収(近位尿細管)
- 頂端膜と上皮細胞内に炭酸脱水酵素を含む。
- H+は主にNa+/H+アンチポーターによって管腔内に輸送される。
- 近位尿細管では濾過されたHCO3*の80~90%を再吸収する。
- H+分泌の高能力を持つが、低い勾配しか維持することができない。
- 近位尿細管内でのpH変化は少ない。
分泌(集合管)
- 集合管は最終的な尿のpHを決定する
- 介在細胞は細胞内に炭酸脱水酵素を多量に含む
- H+はプロトンポンプ(H+ATPase、H+*K+ATPase)によって管腔内に輸送される
- HCO3*はCl*/HCO3*交換体によって輸送される
- 集合管のH+分泌能は低いが、高濃度勾配を維持することができる
- 頂端膜側のプロトンポンプの数を変化させることができる
- アシドーシス → プロトンポンプ増加 → 酸排泄増加
- A型介在細胞とB型介在細胞は鏡像関係
- アルカローシス → B型細胞 → HCO3*を分泌
尿のpH
草食動物
Na+の摂取少・K+の過剰摂取
→ K+の過剰分を排泄、H+の排泄少ない
→ 尿はアルカリ性
肉食動物
Na+と窒素の摂取多い
→ Na+の過剰分、有機酸、アンモニアを排泄
→ 尿はやや酸性