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細菌の変異

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血清型抗原の変異


O抗原=菌体抗原

S-R変異

細胞壁を構成するLPS=内毒素 耐熱性でエタノールや1N-HCl処理でも失活しない長期継代によってS抗原からR抗原への変異が起こる。コロニーはSmoothからRoughになり、血清学的特異性を失う。運動性と莢膜を失って病原性が弱まる。不可逆的。O抗原の質的変異

H抗原=鞭毛抗原

H-O変異

鞭毛を構成する易熱性蛋白で加熱、エタノール、アセトン処理で変性有鞭毛菌が突然変異によって鞭毛合成の性状を失い、無鞭毛に変化

K抗原=莢膜抗原

V-W変異

O抗原の表層を覆う莢膜抗原

K抗原の一つである菌体表層の毒力に関係したVi抗原の脱落変異

F抗原=線毛抗原

線毛を構成する蛋白性抗原 100℃の加熱で不活化しホルマリン処理で抗原性の一部を失う


相変異


Salmonella

多くのサルモネラには二相の鞭毛抗原(1相と2相)が存在し1相抗原(H1)と2相抗原(H2)の産生が交互に変化する。

この現象を鞭毛の相変異と呼ぶ。

Bordetella

ボルデテラ属の菌では継代や培養条件によって相変異を起こす。

本属の菌にはK抗原とO抗原があり定量凝集反応でⅠ相 Ⅱ相 Ⅲ相に分けられている

Ⅰ相菌:K抗原とO抗原を持つがO抗原の反応はK抗原によって抑制されている。

溶血性が強く外毒素を産生し、病原性が強い 【Ex】AR

Ⅱ相菌:抗K 抗O の両血清に反応する中間相

Ⅲ相菌:継代などでK抗原を失ったもの


挿入変異

転移因子の一つであるトランスポゾン(細菌の染色体やプラスミド上にある特徴的な構造を持ったDNA 他のDNA分子上にその位置を変えて動き回ることができる)によって新しく遺伝子が挿入されること