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牛カンピロバクター症

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カンピロバクター用寒天培地→skirrow培地(スキロー培地)、ブレーザー培地


病名

原因

伝播・疫学

症状(臨床・病理)

診断・類症鑑別

予防・治療

重要事項

和名:

牛カンピロバクター症

和名:

カンピロバクター

フェイタス

感染様式:交配

交尾感染。自然交配で多く、発症雌から雄が感染→長期保菌牛

臨床:流産の頻度は低いが妊娠中期の胎子早期死滅による受胎障害が主症状。母牛は臨床症状に乏しく,流産7日位前から微熱,腟粘液の漏出,外陰部の腫脹等をみる。雄は無症状。

診断:膣粘液凝集反応が信頼性高い

・流産胎子の第四胃,小腸,盲腸の消化管について直接塗抹標本を作り石炭酸フクシン染色。

・上記材料および感染の疑いのある種雄牛の精液または包皮腔粘液について,血液寒天および選択剤添加血液寒天を用い微好気培養。

・蛍光抗体法で種雄牛の包皮腔洗浄液および精液から菌検出。

種畜検査の徹底。ワクチン(国内では市販されていない),抗生物質の併用による雄牛の除菌。

1.Campylobacter fetusの生殖器感染による牛の伝染性低受胎および散発性流産

2.雌は初感染でのみ発症するが自然治癒,雄はすべて不顕性感染

3.自然交配で感染拡大

世界:米国,オーストラリア,南米などの牧畜国に広く分布

急性:

血清診断:膣粘液凝集反応(ただし、性周期で変動あるので、群の診断に限る。)

日本:1970年代に流行したが,人工授精の普及でほとんど発生はない。

慢性:流産した母畜は3~6カ月間,保菌する例が多い。

グラム染色性:

グラム陰性 微好気性桿菌(コンマ状) 運動性あり

英名:

bovine venereal campylobacteriosis

英名:

Campylobacter

 fetus

宿主:牛,水牛

病理:胎子には皮下の血様膠様浸潤,胸・腹腔水の増量。肺・肝の偽膜形成,肝の腫脹硬化,心筋の点状出血等がみられることがある。

♀牛は低受胎…子宮内膜炎、卵管炎、流産…胎盤および胎児の感染

類症鑑別:流産でブルセラ,リステリア,トリコモナス

類症鑑別:

流産時期・・Campylobacter;妊娠中期(5~7ヶ月)

トリコモナス;妊娠初期(1~3ヶ月)ブルセラ;妊娠後期(6~8ヶ月)

  • 牛の血尿を主徴とする→遠心すると遠心沈渣に多量の赤血球が見られる。 カンピロバクターは血色素尿である。
  • 牛カンピロバクター症,ブルセラ病、トリコモナス病は流産を主徴とするとセットで覚える。