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心血管系生理学:心臓血管系の統合的反応

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心不全

心不全
低下した心収縮力が正常な血液駆出を行う能力を制限している状態
心臓収縮性の低下 → 両側性心不全、あるいは左心室か右心室に心不全限定 。
スターリングの機序と圧受容器反射により心不全の代償が行われる。このため、重篤な心室不全があっても血圧を正常値近くに保つことが出来る。

心不全に陥ると次のような事が生体内で起こっている。

  1. 収縮力低下
  2. 一回拍出量の減少(ストロークボリュームの減少)
    1. 心臓に帰って来れない→静脈圧の上昇
    2. 前負荷増加
    3. 拡張期末期容積増加→SVの低下を防ぐ。
  3. 心拍出量の減少
  4. 血圧 低下により圧受容器活動低下(圧の刺激を受けないから低下する)
  5. 交感神経が優位になる
    1. 心拍数の上昇
    2. 血管収縮による末梢血管抵抗(TPR)が増加。

失血

出血
出血による異常を心房容積受容器反射と動脈圧受容器反射による代償作用で最小限に抑える。(即時性)
  1. 〈失われた血液量の回復〉
    1. 毛細血管への間質液の再吸収 ; 出血3~4時間後には限界に達する
    2. 圧受容器と心房容積受容器反射により中枢神経系に作用
      1. → 腎臓からのレニン分泌増加 → Naの排泄抑制
      2. → 下垂体からの抗利尿ホルモン分泌増加 → 尿生成抑制
  2. 真の改善
    1. 圧受容器と心房容積反射により渇感増加、水分摂取 ; 正常まで1~2日
    2. 血漿蛋白 (肝臓)と血液細胞 (骨髄) の回復 ; 数日~1週間


運動

  1. 運動中は局所の代謝性調節機構が作用 → 骨格筋の血流増加
    1. 神経やホルモンには依存しない。
  2. 運動の開始には局所性に加えて神経性機構の相互作用も必要
    1. 中枢性指令・・・心理的効果(運動前の準備)
    2. 運動性反射・・・骨格筋や関節の運動増加
    3. 心房圧反射・・・血圧の自律的調節機構を機能させる
  1. 非神経性機構も役立つ
    1. 骨格筋ポンプ
      1. 骨格筋収縮時に筋内血管を圧搾→中心部
      2. (骨格筋自身の血流を制限)→静脈圧増大
    2. 呼吸性ポンプ
      1. 大気圧より低い圧が胸腔内に発生→ 運動中の静脈還流や中心静脈還流を増す