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内分泌腺:甲状腺

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甲状腺
多数の濾胞からなり、球形の各濾胞は1層の細胞の袋で、中にコロイドが充満している。組織間隙にカルシトニンを分泌する傍濾胞細胞が存在する。

(1) 甲状腺ホルモン

サイロキシン(T4)とトリヨードサイロニン(T3)
T3 はT4よりも活性が強く、 末梢組織でT4の脱ヨード化でも 作られる。逆トリヨードサイロニン(3,3’,5’*R T3)は非活性 * 血中の甲状腺ホルモンはT4であるが、組織中でT3に変換される。

(2) 甲状腺ホルモンの分泌調節

視床下部からのTRHと下垂体前葉のTSHにより促進される。

  • T4 ,T3はTSHに負のフィードバック。
  • TSH分泌はストレスにより抑制される。
  • 寒冷条件では促進され、温暖条件では抑制される。


(3) 甲状腺ホルモンの作用機序

標的細胞に到達したホルモンは、細胞内に進入し、核内の受容体に結合する。核内受容体に結合できるのはもっぱらT3で、 T4は細胞質でT3になり結合する。

(4) 甲状腺ホルモンの作用

  • 基礎代謝率亢進:熱量産生作用(O2消費量速度の増加)、体温上昇
  • 蛋白質と脂肪の異化促進→体重減少
  • 神経系 :思考の迅速化、被刺激性の亢進
  • 骨格筋 :甲状腺亢進症では蛋白質異化作用により筋衰弱
  • 心臓 :β*アドレナリン受容体の数と親和性を増大、拍出量、心拍数の増加
  • 炭水化物代謝 :消化管の炭水化物の吸収速度を上昇させ、血糖値上昇
  • コレステロール代謝:LDL受容体の生成促進による、血中コレステロール濃度上昇
  • 成長と発育 :正常な成長と骨格の成熟に必須。分化、成長、泌乳促進、
  • 両生類では幼生から生体へ。GHの効果を許容作用により増強


(5) 甲状腺機能異常

  1. 機能亢進症:神経過敏、多尿、過食、体重減少、心機能亢進・・・ヒトではバセドゥ病
  2. 機能低下症:粘液水腫、脱毛症、毛質の悪化、繁殖障害・・・ヒトではクレチン病、小人病

(6) カルシトニン

  • 哺乳類では傍濾胞細胞(C細胞)から分泌
  • 魚類、両生類、爬虫類、鳥類では鰓後体から分泌
  • 破骨細胞による骨吸収抑制→血中Ca2+濃度減少
  • 腎臓でのCa2+排泄促進