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伝染病学総論:遺伝物質の伝達
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核合と組換
一部の菌(腸内細菌など)は、有性生殖における遺伝子組換に似た現象、すなわち有性組換がみられる。
→FプラスミドやRプラスミドに関与している。
遺伝子を与える側をオス(F+)、受ける側をメス(F-)と考え、F+とF-との接合(線毛を介して)によりF因子が移行する。
*Hfr株・・・F因子が染色体に取り込まれているため組換えが高頻度でおこり伝達される。
形質転換
菌体から抽出した高分子のDNA(形質転換を起こす因子)を他の菌体に接触させることにより遺伝子が変えられる現像をいう。菌が染色体に抽出DNAを取り込むときには、取り込みやすい特別な生理的現象にあるときにのみ起こる。(栄養要求、糖分解、抗原性、薬剤耐性etc)
in vitro,in vivoで起こる。…菌は死んでいるが、DNA活性は失っていない。
形質導入
菌の中で増殖したファージが、その菌の一部の遺伝子を別の菌に運び(導入し)新しい形質を獲得する現象をいう。
- バクテリオファージ
- 細菌に感染するウイルスのこと、ほぼすべての細菌に存在する。
溶原変換
特定のファージで溶原化(テンペレートファージがプロファージの形で細菌の染色体に付着した状態)されると、特定の形質を獲得する現象をいう。ファージのDNAが細菌の遣伝子として作用している。
→形質導入と異なる点
- 消失すると元の性質に戻る。
- 高頻度で起こる。(形質導入が10-5 に対し、ほとんど100%)
*virulent phage:菌に感染し、必ず溶菌を起こす。
(virulent;毒力の)
*emperate phage:全て溶菌するとは限らない。
(emperate;温和な)
- 溶原菌
- プロファージを菌体に持っているものを溶原菌という。
- 溶原化(プロファージ化)
- ファージ核酸が宿主菌の染色体上にあり、菌の分裂に伴い伝わっていくことをいう。