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伝染病学総論:細菌の染色
提供: 獣医志Wiki
染色法を参考 伝染病学総論 光学顕微鏡によって細菌を観察する場合は、その目的に従って細菌を適当な方法で染色する。
普通染色(単染色)
一種類の染色液を用いる。細菌細胞が電荷を持たないときのpHが酸性側にあるため、塩基性色素を用いる。
グラム染色
細菌同定上重要な指標となる染色法ですべての菌を大きく、グラム陽性と陰性に分ける。
- フッカーの変法
固定標本をクリスタル紫、ハッカー液などで染色。(30秒?1分)水洗。
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ルゴール液(ヨードヨウ化カリウム液)で処理。(1分)
水洗、乾燥。
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純アルコールで脱色処理、水洗。グラム陰性菌は脱色。(1分)
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サフラニン液か薄いフクシン液(大学の実習ではファイファー液を使用)で対比染色。(1分)
- 抗酸染色:Mycobacterium属の菌(抗酸菌)は強い色素で加熱染色したのちに、酸性アルコールで脱色処理しても脱色されない。抗酸菌は薄青い背景に赤く染まる。
- ティールニールセン(ziehl-neelsen)の法
濃厚な石炭酸フクシン液で加温染色(3~5分)。水洗、乾燥
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- 3%塩酸アルコールで脱色処理
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Lofferのメチレンブルー液を水で4?5倍に希釈した液で染色(3O砂)
その他の特殊染色
芽胞染色(Moller法)、莢膜染色(Hiss法)、鞭毛染色、免疫蛍光染色法。
生体染色
:細菌の染色に用いる色素はふつう毒性が強く、かつ生菌ではこれらの色素に対する染色性が弱い。従って、細菌を染色して形態を観察する場合には通常死菌が取り扱われる。しかし、生菌だけを染色する方法があり、それにはTTC(2,3,5,-triphenyltetrazolium chloride)が最も多く用いられる。TTCは生菌細胞内で還元されて、菌は赤く染まる。