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伝染病学総論:細菌の代謝

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細菌の代謝

(1) 呼吸:好気性菌、微好気性菌、通性嫌気性菌

酸素は、有機化合物の二酸化炭素への酸化剤として働く。このような酸素に連結する生物的酸化を一括して好気的呼吸といい、エネルギーの供給を行う。

(2) 発酵:偏性嫌気性菌、通性嫌気性菌、無影響菌

偏性鎌気性菌は、空気の存在しない条件下で生存しているため、エネルギー供給のために発酵を行う。必ず細菌の増殖を伴う。

酵母などの多くの微生物は通性嫌気性菌で、条件によって2種のエネルギー生成機構を自由に使い分ける。

(3) 炭水化物の分解

炭水化物を細菌の炭素源及びエネルギー源として利用するために行う。単糖の分解系路として、EM経路・ペントース‐リン酸経路・DE経路がある。

(4) 脂質の分解

脂質は脂肪酸とグリセリンの化合物で、炭水化物と同時に炭素源として利用される。

  1. グリセリンの分解:EM経路
  2. 脂肪酸の分解:Coenzyme AによりアセチルCoAに至る。アセチルCoAは酸化されてピルピン酸になる。

(5) タンパクの分解

  • 蛋白は酵素によって結合が壊れ、ビルピン酸に変わる。
  • アミノ酸は、脱アミノ・脱炭酸・加水分解などにより分解される。

(6) 合成

栄養素の分解によって生じる中間代謝物質を基礎として、まずアミノ酸・脂肪酸・ヌクレオチド・炭水化物を合成し、これらから自己の蛋白・脂肪酸・核酸・炭水化物を作りあげる。合成の中心となる物質はピルビン酸である。

(7) 代謝の調節

カタポライトリプレッション
グルコース以外の炭素源の分解において、特定の基質が存在しても、他の代謝されやすい基質の存在によって酵素合成が阻害されること。
パスツール効果
酵素が存在すると増殖率が高くなる効果。酵素を利用することでより高いエネルギーが得られるためである。
適応酵素(誘導酵素)
ある基質が存在する時に産生され、基質を含まない条件下では産生を停止する酵素。
アロステリック効果
酵素の反応速度が、基質濃度の変化に対してS字型の変化をする効果。