北野成昭(キタノナルアキ) 作『獣医志Wiki』はクリエイティブ・コモンズ 表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際 ライセンスで提供されています。
「メトロニダゾール」の版間の差分
提供: 獣医志Wiki
細 |
細 |
||
行3: | 行3: | ||
[[Category:核酸合成阻害性抗生物質]] | [[Category:核酸合成阻害性抗生物質]] | ||
[[Category:抗原虫作用]] | [[Category:抗原虫作用]] | ||
+ | 本薬剤は嫌気性菌に対して有効である。なお肝不全にメトロニダゾールを投与するのは高アンモニア血症などで嫌気性菌を押さるために投与される。 | ||
== 薬品名 == | == 薬品名 == | ||
メトロニダゾール | メトロニダゾール | ||
行21: | 行22: | ||
*トリコモナス | *トリコモナス | ||
*大腸バランチジウム. | *大腸バランチジウム. | ||
− | * | + | *肝性脳症→肝不全 |
**ラクツロースを併用推奨 | **ラクツロースを併用推奨 | ||
*(バベシア)→プロトコールが確立されていない | *(バベシア)→プロトコールが確立されていない | ||
行27: | 行28: | ||
微生物内でニトロ還元酵素系の反応により還元され ニトロソ化合物 (R-NO)に変化し、 このR-NO が殺菌作用を示す。 | 微生物内でニトロ還元酵素系の反応により還元され ニトロソ化合物 (R-NO)に変化し、 このR-NO が殺菌作用を示す。 | ||
+ | === 炎症性結直腸ポリープ(ICRP) === | ||
+ | 東京大学獣医内科学教室の報告によるとダックスのICRPの錠剤細菌叢が変動し、短鎖脂肪 酸(SCFA)産生菌が減少している傾向にある報告がある。 | ||
+ | 短鎖脂肪酸(SCFA)産生菌が減少することで | ||
+ | *腸上皮への栄養供給 | ||
+ | *腸の運動性の維持 | ||
+ | *抗炎症作用 | ||
+ | の上記が低下すると言う事が考えられている。本薬剤によりSCFA産生菌が増えるのではないかと言う報告がある | ||
+ | ;SCFA産生菌:Bifidobacterium や Lactobacillales など | ||
== 薬用量 == | == 薬用量 == | ||
{| class="wikitable" | {| class="wikitable" | ||
行85: | 行94: | ||
== その他 == | == その他 == | ||
*昔の報告で免疫調整機能があることが報告されているが、後追い研究の結果を見ている限り免疫調整機能はあるように思えない。結論として免疫調整機能はないと考えられている。 | *昔の報告で免疫調整機能があることが報告されているが、後追い研究の結果を見ている限り免疫調整機能はあるように思えない。結論として免疫調整機能はないと考えられている。 | ||
− |
2017年6月18日 (日) 16:32時点における版
本薬剤は嫌気性菌に対して有効である。なお肝不全にメトロニダゾールを投与するのは高アンモニア血症などで嫌気性菌を押さるために投与される。
薬品名
メトロニダゾール (英):Metronidazole
商品名
- Metronidazole
- フラジール(塩野義)
- アスゾール
- アネメトロ(ファイザー)→リンク
適応
- 脂溶性のためCNSに作用する
- 嫌気性細菌に有効
- ジアルジア
- トリコモナス
- 大腸バランチジウム.
- 肝性脳症→肝不全
- ラクツロースを併用推奨
- (バベシア)→プロトコールが確立されていない
薬の作用機序
微生物内でニトロ還元酵素系の反応により還元され ニトロソ化合物 (R-NO)に変化し、 このR-NO が殺菌作用を示す。
炎症性結直腸ポリープ(ICRP)
東京大学獣医内科学教室の報告によるとダックスのICRPの錠剤細菌叢が変動し、短鎖脂肪 酸(SCFA)産生菌が減少している傾向にある報告がある。 短鎖脂肪酸(SCFA)産生菌が減少することで
- 腸上皮への栄養供給
- 腸の運動性の維持
- 抗炎症作用
の上記が低下すると言う事が考えられている。本薬剤によりSCFA産生菌が増えるのではないかと言う報告がある
- SCFA産生菌
- Bifidobacterium や Lactobacillales など
薬用量
動物種 | 薬用量 | 注意項目 |
---|---|---|
犬 | 10-30mg/kg bid PO 5日間 | … |
猫 | 10-25mg/kg bid PO 5日間 | … |
牛 | mg/kg | … |
馬 | mg/kg | … |
豚 | mg/kg | … |
羊・ヤギ | mg/kg | … |
うさぎ | mg/kg | … |
フェレット | mg/kg | … |
鳥 | mg/kg | 免疫ミルクと併用する |
爬虫類 | mg/kg | … |
両生類 | mg/kg | … |
フクロモモンガ | mg/kg | … |
ハリネズミ | mg/kg | … |
齧歯類 | mg/kg | … |
ミニブタ | mg/kg | … |
野生動物 | mg/kg | … |
無脊椎動物 | mg/kg | … |
魚類 | mg/kg | … |
… | mg/kg | … |
- 犬
- 犬でトリコモナス30mg/kgでも効かなかったら50mg/kg TIDまで増量
注意事項
- 胃腸障害
- 長期投与により末梢ニューロパシーと顆粒球減少症
- (犬)60mg/kg/dayで前庭,小脳の機能障害が発現
- (管理人より)中枢神経での副作用言われていますが2千くらいの子犬に処方しましたが経験ありません。もともと中枢神経に問題あった奴に3
- 中枢性前庭疾患→斜頸と眼振
その他
- 昔の報告で免疫調整機能があることが報告されているが、後追い研究の結果を見ている限り免疫調整機能はあるように思えない。結論として免疫調整機能はないと考えられている。