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ハーナ・テトラチオン酸塩基礎培地

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サルモネラ増菌培地

  • ハーナ・テトラチオン酸塩基礎培地(Hajna Tetrathionate Broth) [#oe9bff37]

サルモネラ増菌用

    • 詳細 [#z024d26f]

Salmonellaはテトラチオン酸塩を還元する性質を有し,この還元物質はSalmonellaのエネルギー源となって発育を促進するが,大腸菌(Escherichia coli)はそれによって発育が抑制される。本培地はこの原理にもとづいて作られたものである。本培地はSalmonellaの選択増菌培地で,他菌の混入が著しい検査材料(たとえば糞便および食品)からのSalmonellaの増菌に用いる。これと同じ目的で使用する培地としてセレナイト培地があるが,この培地は雑菌混入が少ないと考えられる検査材料からの分離に用いる。これは両培地がもつ選択性の差によるので,本培地が強い選択性をもつにほかならない。すなわち,ヨード溶液の添加によって培地中で作られるチオ硫酸塩との化合物であるテトラチオン酸塩,さらにデスオキシコール酸塩およびブリリアントグリーンなどの選択作用によるわけである。なお,テトラチオン酸塩の代謝によって培地がやや酸化する傾向があるので,沈降炭酸カルシウムを加えて酸を吸着させ,培地のpHを一定に保たせるように工夫している。また,ブドウ糖とマンニットが添加されているので,それらの発酵はテトラチオン酸塩の分解による培地の選択性を強化している。したがって, グラム陽性菌,大腸菌などの増殖は本培地で強く抑制されるが, Salmonellaのあるものも多少抑制される傾向がある。一般的にみてS.Typhi, S.Paratyphi-A, S.Sendai, S.Gallinarumの発育には不適なので,チフス症の検査のさいには本培地は使用できない。

    • 組成(精製水1リットルあたり) [#jb34da16]

-酵母エキス          2 g -ペプトン           18 g -ブドウ糖           0.5 g -マンニット          2.5 g -デスオキシコール酸ナトリウム 0.5 g -塩化ナトリウム        5 g -チオ硫酸ナトリウム(無水)  26 g -沈降炭酸カルシウム      25 g -ブリリアントグリーン     0.01 g -pH7.4±0.2 -ヨード溶液を添加して使用する。