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ドキソルビシン
提供: 獣医志Wiki
アントラサイクリン系、ストレプトマイセス属の産物から抽出された抗腫瘍抗生物質
用量については体表面積を参照
薬品名
ドキソルビシン(DXR)
- (英):doxorubicin hydrochloride
血管外漏出した場合
デキスラゾキサンを参考に!→投与したドキソルビシンの20倍量を3時間以内に静脈注射
- 1. 投薬を中止
- 2. 留置針は直ぐに引き抜かず、その留置針から周囲に漏れた薬剤を可能な限り吸引
- 3. 冷湿布を適用 1回10分間の冷湿布を1時間おきに24時間
- 漏出箇所に解毒剤(DMSOやステロイドなど)を注入する必要性についてはオンコロジスト間で意見が分かれる。
- 特別な解毒剤を使用していないオンコロジストも多く、今回のプロトコールでも特別な解毒剤の注入は推奨していない。
薬の作用機序
- トポイソメラーゼ II との相互作用
- フリーラジカルの産生
- 細胞周期非依存性(ただし最大の効果はS期)
薬用量
一般的に10kg未満の小型犬は1mg/kgで投与する→最大耐容量(MTD)に至っていないのではとの懸念も散見する。わたしは下記の容量で使っています。
動物種 | 薬用量 | 注意項目 |
---|---|---|
犬 | 30mg/m2 IV /3week | 5~8回まで |
猫 | 20mg/m2 IV /3week | … |
… | mg/m2 | … |
適応
注意事項
1. 総ビリルビン値が1.5/dlを越えるときは薬用量を50%減 2. 心収縮力(FS)が28%以下の患者には禁忌 3. ヘパリンを加えた生理食塩水と混ざると沈澱物を生じるので、ヘパリン加生食によるフラッシュも避けること。
商品名
アドリアシン:協和発酵
毒性
- 1. 重度の骨髄抑制(好中球の最下点は投与後7-10日目)
- 2. 胃腸障害、特に出血性腸炎(投与2-4日後に発生)
- 3. 蓄積性心筋障害、急性(房室ブロックを含む不整脈)および慢性障害(拡張型心筋症に類似し生涯投与総量が180mg/m2を越えると高頻度で出現)に細分される。
- 4. 脱毛(プードルやテリアなど)
- 5. 過敏症様反応
- 6. 血管外漏出で周囲組織の壊死
- 7. 猫で腎毒性(尿細管壊死、間質の線維化、糸球体症)
代謝
肝臓で代謝され、胆汁を介して排泄
その他
室温保存で7日間、冷所(5℃)で30日間、冷凍保存(-20℃)で3ヶ月間安定で残存率95%を維持