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キシリトール

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キシリトール
キシリトールは甘味料の一種であり、人の場合インスリンの分泌を殆ど刺激しない。特定の細菌の増殖を防ぐことなどから、無糖ガムや歯磨き粉、その他の口腔ケア製品に多く含まれるようになってきた。経口投与されたキシリトールの吸収性は動物種によって大きく異なり、ヒトでは緩徐に吸収されるのだが犬では急速に、ほぼ完全に吸収される。血漿中の濃度のピークは摂取後約30分である。
  • 多くの動物種において、キシリトールの経口摂取における安全域は広く、マウスにおける経口摂取でのLD50は20g/kg以上である。
  • ヒトではキシリトールを1日あたり130g以上摂取すると下痢を起こすと言われているが、それ以外の異常は見られない。
  • 犬では0.1g/kg以上の摂取量で重篤な中毒症状を示す。


ER対策

嘔吐、嗜眠(しみん)、運動失調、虚脱、痙攣発作などが起こる。キシリトールは甘味料だがインスリンが大量にでるため低血糖対策をまず行う(まず留置)

  • 催吐処置は価値があるかもしれないが、キシリトールの吸収がかなり早いためサイト処置では効果が薄いかもしれない。また活性炭の吸着もあまりきたいできないかもしれない(活性炭が追いついた時にはすでに吸収しきっているかも)

二時間以内であれば自分は催吐処置しています。ガムなどまだ胃の中にあるならとっておくことで予後がよくなる可能性もあります。 回復しても最低三日は経過観察したほうがいいかもしれません。

病因・病態生理

疫学

臨床症状

嘔吐、元気消失など 凝固障害に伴う症状、急性肝障害に伴う症状、低血糖症に伴う症状を呈する。

診断

尿検査

血液検査

  • ALT/ASTの上昇
    • 12-24時間以内に肝酵素の上昇がおこり、急性肝細胞壊死が認められることがある。これらの機序ははっきりとわかっていない。
  • T-Bil上昇
  • 低血糖→グルコースを投与した時より6倍以上インスリンがでるため
    • 100mg/kgで摂取後30-60分で低血糖が発生する
  • 高 もしくは 低リン血症
  • 凝固時間の延長
  • 血小板減少症

画像検査

エックス線

エコー

CT・MRI

治療

低血糖にたいして→グルコース 肝機能不全にたいして→S-アデノシル-L-メチオニン製剤 凝固異常にたいして→VitK、血漿輸血