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ガス交換

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  • 酸素と二酸化炭素の交換
    • 肺胞 ⇔ 肺毛細血管 :ガス交換は分圧勾配による拡散で行われる。その速度は以下の因子によって決定する。
      • 拡散に利用される表面積
      • 空気‐血液障壁の厚さ
      • 肺胞と毛細血管の間のガス駆動圧(肺胞酸素分圧 – 動脈血二酸化炭素分圧)
      • ガスの物理的特性
    • 血液 ⇔ 組織 :ここでのガス交換もまた分圧勾配による拡散
      • O2とCO2は血液と組織の分圧が等しくなるまで拡散する
      • 酸素要求量の高い組織は毛細血管数が多い→ 拡散のための表面積が大きくなる
      • 血管と組織の距離が短縮する 拡散効率UP
  • 運動時には
    • 運動中には通常還流されない毛細血管に血流がいく(毛細血管の新規参入) → 筋肉の血流の増加、血流速度の減速 → 拡散平衡に費やせる時間が延長する
    • 運動によって筋肉のPO2は低下し、PCO2は上昇する→ 駆動圧勾配の増加 拡散効率UP!!
  • 換気が上手くいかなかったら・・・低酸素血症 = 細胞のレベルでの酸素不足
    • 酸素性低酸素症 動脈血酸素分圧Pao2の低下
    • 貧血性低酸素症 血中Hb濃度低下による酸素運搬不良
    • 虚血性低酸素 血流量低下による酸素運搬不良
    • 組織中毒性低酸素症 毒物作用による酸素利用不良

低酸素性低酸素症の原因

a 肺胞の低換気

換気の少ない部位への血流は効果が少ない

b シャント

心臓や血管の形成不全により、多量の静脈血が肺毛細血管を通らずに体循環動脈系に直通し、本来の動脈血を薄めて静脈血化し、慢性チアノーゼを伴う。

c 拡散障害

  • 原因
  • ⅰ) 拡散距離の増大(Hb⇔肺胞気):
    • 肺水腫による細胞外液の増大
    • 肺炎による細胞内面への浸出液
    • 僧帽弁狭窄での肺毛細血管拡大
  • ⅱ)面積減少:肺気腫による肺胞隔壁の破壊、肺切除
  • ⅲ)分圧差減少:換気障害または血流障害

換気‐血流比不均等

  • 一部の肺の換気が悪くなると、肺の部位により換気‐血流比が異なってくる。
  • 重力による影響も受ける。
    • 四足動物・・・換気量と血流は均等に分布。
    • 直立動物・・・肺胞気は上部ほど多い。血流は下位ほど多い。