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インターキャット

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†本ページは獣医師北野が経験した症例や他の獣医師の使用感を聞いたまとめです。信憑性は別にしてこう言うプロトコールもあるんだな程度に見てください

インターキャット
インターフェロンの一種。IFN-ω(猫のたまたま) 抗ウイルス作用があり、種特異性が低い(つまり犬パルボにも・・・)。逆にIFN-γは種特異性が高い
  • インターフェロン
    • 1型→α、β、ω(普通サイトカインは種特異性が高いがこれらは例外。ビムロンはヒト用だが大動物で使用される)
    • 2型→γ

インターフェロン製剤を使う時の注意するべきケース

  • 黄疸がある
  • ワクチン製剤で過敏症歴があるケース
  • 妊娠中→サルは流産、その他実験動物でも。よってブリーダーに使う場合インフォーム推奨
  • インタードッグは外部寄生虫やマラセチア、膿皮症、脂漏症がある場合
  • 一般状態が悪い(この点については犬パルボウイルスの項目を読んでください)
  • ウイルス感染の場合preをできるだけ使用しないようにする(インターフェロンの免疫活性と相殺されるため)

各ウイルスに対する使用方法

  • インターキャットは基本SCで注射しています。例外がある場合IVかIMと記述しています。
  • インターキャットをまぜた製剤はかならず冷蔵保存するように指示する
予防
院内感染予防やワクチン未接種の子達に
軽度
症状が初期の場合(オーナーが気付いていない場合)
中程度
臨床症状がでており、オーナーが元気がないかな?と感じるレベル
重度
やばい。レベル

カリシウイルス(良く効く)

口内炎を誘導している場合のカリシウイルスは別記口内炎を参照してください。

予防
50KU/ml 抗生物質点眼に入れる。点眼点鼻TIDで使用する。インターキャット点眼は多頭飼いの飼い主にも経済的に優しく効果もまあまあある。
軽度
1MU/headまずこれで反応見る
中程度
3MU/head連日3日
重度
2.5MU/kgIVかIM連日5日

ウイルス性鼻気管炎(効く)

そこそこ効く。細菌感染コントロールできていないと反応があまり無いように感じる。鼻汁のスワブを感受性にかけて必ず効く抗生物質を調べる。(中程度以上の場合)

予防・軽度
50KU/ml 抗生物質点眼に入れる。TIDで使用する。インターキャット点眼は多頭飼いの飼い主にも経済的に優しく効果もまあまあある。猫風邪でとりあえず出しておくとよく治るので飼い主さんとの信頼関係が強くもてる。FIV・FeLVでの日和見感染防止で個人的に使っている
中程度
3MU/head隔日3回。
重度
3MU/head連日5回IV

汎白血球減少症(不明)

下痢・嘔吐の場合犬のパルボウイルスチェックキットを実施する(特にブリーダーや店舗で購入してきたという場合)

予防・軽度
1MU/head連日3回
中程度
3MU/headIV連日3回
重度
3MU/headIV連日3回

猫伝染性腹膜炎(不明)

重症の場合

  • 薬用量
    • 1MU/kg SC
      • 3匹に1匹はあまり効いていない?
      • ステロイド併用推奨??(2mg/kg)→インターフェロンの免疫賦活化のトレードオフだが(重症の場合での話)
      • 胸水・腹水は抜かない(理屈はPLEと同様)
予防;50KU/ml 抗生物質点眼に入れる。TIDで使用する。インターキャット点眼は多頭飼いの飼い主にも経済的に優しく効果もまあまあある。
軽度
1MU/head
中程度
(3~)5MU/headIVかIM
重度
5MU/head IP→延命自体には効果あるが救命は??
重度その2
1MU/kg

JBVPの石田卓夫先生の特集より

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FIV

予防
?
軽度・中程度・重度
1MU/head 週一回で2ヶ月まず続ける。軽度なら2~4週ごとに間隔をふやしてもいい

FeLV

連日5回の投与をし、その後週一回で2ヶ月まず続ける。軽度なら2~4週ごとに間隔をふやしてもいい。BCS2以下の場合連日投与をしない(死亡例があるため)

軽度・中程度:1MU/head
重度:3MU/head

FIV/FeLV同時感染時

  • 生存率を上げる目的で使用する場合「良く効く」と言える。しかしウイルスが消失・軽減するかといういみだと「効かない」
延命
1MU/kg連日5回を3クール(0,14,60日目)

口内炎(効く)

予防・維持:マキシガードPOTID
軽度
:50KU/ml(生食か抗生物質点眼に加える)→口の中にダイレクトで入れるか点鼻
中程度:3~10MU/head
重度:10MU/head

マキシガードのレシピ

獣医師以外が作る場合よく混ぜる様に指示する。もしくは料理ができる人に頼む。 マキシガードまるまる一本にインターキャット1アンプルを生食でとかして入れる。ジェル状なので十分混ぜる(気泡まみれになるが時間とともに消える) 付属のアスコルビン酸は入れない(動物が嫌がる)。ビタミン補給どうしてもしたければ点眼ビンに分注する時に入れておく

犬でのインターキャット使用について

あくまで補助的であると考える。感染し、臨床症状がでている子犬の場合どれだけ適切に対処療法ができるかが鍵になってくる。院内感染予防のためホテルや入院している子達にかならず2MU/headのインターキャットをSCする。これはたとえ感染しても重篤かしにくいために病院の信頼を失わないための投資と考えましょう。

ジステンパーウイルス

予防:3MU/head
軽度:1~3MU/head
中程度:1~6MU/head
重度:3~6MU/head

パルボウイルス

予防:3MU/head
軽度:1~3MU/head
中程度:1~3MU/head
重度:1~3MU/head

補足事項

上の「インターフェロン製剤を使う時の注意するべきケース 」で一般状態が悪い場合と書いたが、具体的に言うと重篤な心臓疾患や肺水腫を起こした動物、糖尿病である。 これは添付文章に書いていたり、報告があったりするので使用して弊害があった場合訴訟の対象となるがこのパルボウイルスの例で言えばインターフェロンはどういった反応を示すか分からない。 しかしウイルスに抵抗する上で非常に有用である。と言うかパルボの場合インターフェロン頼みのところがあるのでパルボウイルスに限らず有益である場合オーナーに一言副作用があることがあり、それは個体差があることだけはお伝えください。