北野成昭(キタノナルアキ) 作『獣医志Wiki』はクリエイティブ・コモンズ 表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際 ライセンスで提供されています。
経口感染症
- 食品媒介性感染症(ウイルス性食中毒含む)
- 病原性強く、人-人感染が起こる。
- 細菌性食中毒
- 飲食物を介してのみ感染、発症にいたる。(起因菌の病原性が低い)
病名 |
病原体 |
疫学 |
潜伏期間 |
症状 |
診断 |
予防 |
治療 |
その他 |
コレラ |
Vibrio cholerae 3類感染症 人の小腸内に定着 エンテロトキシン産生 |
1977年以降日本でも発生(集団発生有) 小川型・稲葉型・彦島型に分類 日本では小川型・稲葉型が多い 糞便に排菌され水・食品を汚染 |
数時間~5日(2~3日が多い) |
激しい水様性下痢(米のとぎ汁様)と嘔吐。 脱水による電解質異常やアシドーシス |
糞便検査 |
流行地への旅行者の予防接種 上・下水道の整備。帰国者・入国者検疫 |
輸液(乳酸リンゲルが有効) 抗生物質投与 |
溶血性無→アジア型(古典型) 溶血性有→エルトール型 |
腸チフス・パラチフス |
Salmonella Typhi(腸チフス) Salmonella Paratyphi A(パラチフス) 2類感染症 (B、Cは食中毒菌) |
日本では年間300名程度。その内約半数は輸入症例。保菌者のほとんどが胆嚢内に保菌 糞便・尿が感染源 |
平均2週間 |
稽留と弛緩を繰り返す発熱。皮膚にバラ疹 回腸パイエル版に潰瘍形成。腸出血 |
菌分離が必須(初期は血液から、中期以降は糞便・尿から分離) 血清からのウイダール反応 |
保菌者の発見と監視体制の確立 |
クロラムフェニコール、アンピシリンが有効 |
人のみが保金し、動物は保菌しない |
細菌性赤痢 |
赤痢菌(Shigella属菌) A型:S.dysenteriae B型:S.flexneri C型:S.boydii D型:S.sonnei (血清型別) |
海外旅行者の発生が増加。1974年以降、ペットショップのサルへの感染が確認 |
2~6日 |
一過性の発熱 腹痛・しぶり腹・下痢 初期には悪心・嘔吐・倦怠感 |
糞便からの菌分離 |
赤痢発生国での生水・生ものの飲食を避ける |
ナリジクス酸、カナマイシン、アンピシリン、コリスチン(耐性菌多いので注意) |
A型が最強で志賀毒素産生 最弱はD型 |
A型肝炎 |
ピコルナウイルス科 A型肝炎ウイルス |
国内では散発的 発展途上国では現在も流行 糞口感染 |
3~6週(3~6週(平均4週) |
非特異的な倦怠感 発熱・腹痛・嘔吐 進行すると黄疸・褐色尿 |
血検によるビリルビン値、トランスアミナーゼ値の上昇。HAV抗体検出。IgM捕獲ELISA |
ワクチン |
数週間の安静 |
死亡率低く、不顕性感染も多い |
ウイルス性胃腸炎 |
ほとんどはノロウイルスによる。 その他 ロタウイルス アデノウイルス サポウイルス アストロウイルスなど |
糞口感染が主 汚染された水や貝類、特にカキ類が重要 |
1~2日 |
下痢、嘔吐、腹痛。時に発熱、頭痛 |
糞便を用いた電子顕微鏡観察 RT-PCR |
入念な手洗い、汚染物の適切な処理 |
整腸剤などの対症療法 |
ノロウイルスは形態学的分類では小型球形ウイルスに分類 |