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*コリー、オーストラリアン・シェパードは高頻度に変異 を持つ。シェルティーも頻度は低いが変異遺伝子を持 つ。 | *コリー、オーストラリアン・シェパードは高頻度に変異 を持つ。シェルティーも頻度は低いが変異遺伝子を持 つ。 | ||
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2017年6月10日 (土) 12:03時点における最新版
目次
MDR1遺伝子
- (英 ===Multidrug resistance 1 Gene)MDR1遺伝子
- 細胞膜に存在するP糖タンパク(p-gp)をコードしている遺伝子である。
- P糖タンパクは細胞膜トランスポーターの一つ
- 特定の物質を細胞内から細胞外へ排出する
- 脳の毛細血管内皮細胞、毛細胆管細胞、消化管や尿細管の上皮細胞などに発現
- 脳毛細血管内皮細胞のP糖タンパクは、体循環している異物(薬物など)が、脳や脊髄組織に流入して障害を起こさないようにする防御機能であるBBBの本体と考えられている
- MDR1遺伝子は癌細胞の多剤耐性獲得に関連している
- 現場ではイベルメクチン類似薬物でCNSの有害作用を見かけることがよくある
ケーナインラボ mgene p7より引用
国内での検査可能施設
臨床でのポイント
- mdr 1遺伝子のホモ変異を持つ動物は、イベルメクチン でハエウジ症、毛包虫症の治療をしてはならない。→国内ではアミトラズかな
- コリー、オーストラリアン・シェパードは高頻度に変異 を持つ。シェルティーも頻度は低いが変異遺伝子を持 つ。
- コリーやシェルティーでは、イベルメクチンの使用前に 遺伝子検査を行う
- 犬種やMDR1と関係なく高用量で中毒症状を引き起こす
検査結果の判定基準
- 遺伝子変異なし
- 正常
- 遺伝子変異あり(ホモ型)
- 対象薬物で重篤な副作用の可能性がある
- 遺伝子変異あり(ヘテロ型)
- 対象薬物で用量用法に十分な注意が必要→低用量からスタートする
MDR1の仕組み
- MDR1遺伝子の変異により、機能的P糖タンパクをつくり出すことができなくなる(ホモ欠損)または少なくなる(ヘテロ欠損)ことが想定されており、一部のP糖タンパクを基質とする薬剤による副作用発現の可能性が示唆されている。
- MDR1遺伝子に変異があり機能的なP糖タンパクが発現していない犬では、P糖タンパク基質薬剤の消化管からの吸収率が高まり、胆汁中への排泄や腎臓でのクリアランスが低下していると考えられる。
- 結果的に薬が高濃度に細胞内に蓄積され、MDR1遺伝子変異犬でP糖タンパク基質の薬剤を使用する際には、遺伝子型が正常な犬とは異なる投与計画を考慮しなくてはならない。
- MDR1遺伝子変異をもつ犬では、抗癌剤の代謝に影響して副作用を増強する可能性がある。しかし一方で、低用量での治療効果や通常は効果が低い脳腫瘍への治療効果が期待できる。さらに薬剤耐性が生じにくいといったプラスの側面もあるかもしれない。
夜間救急で見たケース
- コリーではなかったが、ニキビダニの治療でMDR1が欠損していたシーズがいて、副作用についてホームドクターでインフォームされてないと言うことでした。
- 通常はインフォームしないことが多いため、獣医師は以下の基質薬剤を使用する際に注意喚起を検討してはいかがでしょうか?
P糖タンパクの基質薬剤一覧
駆虫薬
イベルメクチン、ミルベマイシン、モキシデクチン、ドラメクチン、セラメクチン
抗癌剤
ビンクリスチン、ビンブラスチン、ドキソルビシン、ミトキサントロン
抗生物質
テトラサイクリン、エリスロマイシン
抗真菌剤
ケトコナゾール、イトラコナゾール
免疫抑制剤
シクロスポリン、タクロリムス
循環器治療薬
ジゴキシン、ジルチアゼム、ベラパミル
消化器系薬
ロペラミド、シメチジン、ラニチジン、ドンペリドン
鎮痛・鎮静薬
ブトルファノール、モルヒネ、アセプロマジン、フェニトイン
ステロイド剤
メチルプレドニゾロン、デキサメサゾン
参考文書
comparative and veterinary pharmacology(Springer)