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「肺血流」の版間の差分

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(2.肺循環)
(2.肺循環)
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== 2.肺循環 ==
 
== 2.肺循環 ==
 
''右心室 ⇒ 肺動脈 ⇒ 肺(肺毛細血管) ⇒ 肺静脈 ⇒ 左心房''
 
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この血流の調節は肺動脈の平滑筋に依存。平滑筋の量に種差あり。  
 
この血流の調節は肺動脈の平滑筋に依存。平滑筋の量に種差あり。  
 
;成ブタ・ウシ:厚い中膜筋層をもつ  
 
;成ブタ・ウシ:厚い中膜筋層をもつ  
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*肺血管圧
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**肺動脈圧 ・・・ 平均15mmHg    差が小さい  
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=== 肺血管圧 ===
**肺静脈圧 ・・・ 平均5mmHg      = 血管抵抗が小さい   
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*肺動脈圧 ・・・ 平均15mmHg    差が小さい  
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*肺静脈圧 ・・・ 平均5mmHg      = 血管抵抗が小さい   
 
肺循環と体循環の血流量は等しいので、肺循環の抵抗を小さくして血流を保つよう維持されている。そのため、右心房の負担は小さくなっている。
 
肺循環と体循環の血流量は等しいので、肺循環の抵抗を小さくして血流を保つよう維持されている。そのため、右心房の負担は小さくなっている。
 
   
 
   
*肺の血管平滑筋の調節因子  
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=== 肺の血管平滑筋の調節因子 ===
 
#神経性因子
 
#神経性因子
 
##交感神経性支配 … 血管収縮 NEがα‐アドレナリンRを活性化  
 
##交感神経性支配 … 血管収縮 NEがα‐アドレナリンRを活性化  
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#液性因子(化学的仲介物質)  
 
#液性因子(化学的仲介物質)  
 
  ex)Ach、ブラジキニン ; 血管内皮細胞からNO,PG放出させる→血管弛緩  
 
  ex)Ach、ブラジキニン ; 血管内皮細胞からNO,PG放出させる→血管弛緩  
*運動時
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=== 運動時 ===
 
酸素要求を満たすため、心拍出量が増加 →その血量の全てが肺循環を通過し、酸素を獲得 →血流増加に対応して血管拡張・血管抵抗低下
 
酸素要求を満たすため、心拍出量が増加 →その血量の全てが肺循環を通過し、酸素を獲得 →血流増加に対応して血管拡張・血管抵抗低下
  
 
*ウマでは運動時にとりわけ血管内圧が上昇(90mmHg) 肺毛細血管から赤血球を漏出させる = 運動誘発性肺出血
 
*ウマでは運動時にとりわけ血管内圧が上昇(90mmHg) 肺毛細血管から赤血球を漏出させる = 運動誘発性肺出血

2016年2月16日 (火) 23:37時点における版

肺への血流提供について

  • 1.気管支循環 体循環
  • 2.肺循環 ガス交換

1.気管支循環

体循環の一部で、気道や肺内部の他の組織に血流を提供

左心室 →胸大動脈 →気管支食道動脈 →気道・小葉間中隔
→両頚動脈 →気管支動脈 →右肺尖の気道

2.肺循環

右心室 ⇒ 肺動脈 ⇒ 肺(肺毛細血管) ⇒ 肺静脈 ⇒ 左心房
この血流の調節は肺動脈の平滑筋に依存。平滑筋の量に種差あり。

成ブタ・ウシ
厚い中膜筋層をもつ
ウマ
少なめの筋層
ヒツジ・イヌ
単に薄い筋層があるのみ


肺血管圧

  • 肺動脈圧 ・・・ 平均15mmHg 差が小さい
  • 肺静脈圧 ・・・ 平均5mmHg = 血管抵抗が小さい

肺循環と体循環の血流量は等しいので、肺循環の抵抗を小さくして血流を保つよう維持されている。そのため、右心房の負担は小さくなっている。


肺の血管平滑筋の調節因子

  1. 神経性因子
    1. 交感神経性支配 … 血管収縮 NEがα‐アドレナリンRを活性化
    2. 副交感神経性支配 … Ach放出 肺血管抵抗に殆ど影響を示さない
  2. 液性因子(化学的仲介物質)
ex)Ach、ブラジキニン ; 血管内皮細胞からNO,PG放出させる→血管弛緩 

運動時

酸素要求を満たすため、心拍出量が増加 →その血量の全てが肺循環を通過し、酸素を獲得 →血流増加に対応して血管拡張・血管抵抗低下

*ウマでは運動時にとりわけ血管内圧が上昇(90mmHg) 肺毛細血管から赤血球を漏出させる = 運動誘発性肺出血