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細菌の病原性

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抵抗性、粘着性、定着に関わる因子


因子

理由

作用

G+菌の細胞壁リポ多糖

補体にやられない

血清抵抗性を持つ


線毛

幅4~8nm、長さ0.5~8μm蛋白(ピリン)からなる直細毛で菌体周囲に100~300本が密生

F(性)線毛⇒1~4本の比較的長い線毛で菌の接合時の雌雄細胞間吸着に機能

F抗原(線毛抗原)⇒線毛を構成する蛋白性抗原

100℃の加熱で不活化しホルマリン処理で抗原性の一部を失う

宿主細胞への付着、体内侵入、定着

血球凝集性

E.coli

B.bronchiseptica

鞭毛

幅20~50nm、長さ10μm

細胞質膜に発し、基体およびフックを経て繊維状物として菌体外に伸びる

構成成分はフラジェリン(分子量3万~6万の蛋白質)⇒抗原性(H抗原:鞭毛を構成する易熱性蛋白で加熱、エタノール、アセトン処理で失活

H-O変異⇒有鞭毛菌が突然変異で鞭毛を失う

生体防御からの回避機構

Salmonella

芽胞

1.外層(外膜、芽胞殻(システイン)、ペプチドグリカン)2.内層細胞質:ジピコリン酸がCaと結合 脱水状態を保ち耐熱性を保持

エネルギーはグリセロール3リン酸の形で蓄えられる

細胞外寄生

中央性:B.cereusu、B.anthracis

偏在性:C.septicum

端在性:C.tetani、C.novyi

莢膜

細胞膜表面を覆うゲル状の粘性物質、複合多糖、d-グルタミン酸ポリマー、ヒアルロン酸などの成分は菌種によって異なる

K抗原(莢膜抗原)⇒O抗原の表層を覆う

V-W変異⇒K抗原のひとつである菌体表層の毒力に関係したVi抗原の脱落変異

食菌抵抗性、薬剤からの菌の保護

組織細胞への付着

菌相互の凝集

B.anthracis(ポリペプチド性莢膜:60Mdaプラスミド支配 

肺炎レンサ球菌(多糖体莢膜)


侵襲性に関わる因子


ヒアルロニダーゼ

結合組織中のヒアルロン酸を分解 菌の組織侵入、拡散を容易にする

Sta.aureus、Str.pyogenes(化膿レンサ球菌)、C.perfringens

コアグラーゼ

フィブリノーゲンを線維素に変えて血漿を凝固し、菌体表面を被覆

宿主の食菌、防御物質や薬剤から保護 Sta.aureus

フィブリノリジン

プラスミノーゲンを活性化し線維素を溶かし、 菌の侵入を容易にする

Str.pyogenes

コラゲナーゼ

菌蛋白を分解し 菌の侵入を容易にする

C.perfringens

ストレプトドルナーゼ

DNA分解酵素で白血球や組織細胞を溶解し、菌の侵入を容易にする

Str.pyogenes

ロイコシジン

白血球の活性を阻害

Str.pneumoniae、Str.pyogenes

アグレッシン

感染組織中で菌が産生し、 宿主の抵抗性を弱める

B,anthracis、P.multocida

免疫抑制因子

抗体産生や細胞性免疫応答を抑制する因子を産生 宿主の免疫に抵抗

B,anthracis、E.coli、P.multocida


病原因子