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「猫の大動脈血栓塞栓症」の版間の差分

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*肥大型心筋症に伴う心臓の壁性血栓が腸骨動脈枝に騎乗するため生じ、後肢の冷感と麻痩、大腿動脈脈拍の欠知が認められる。
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*心筋症(DCM,HCM,RCM)に伴う心臓の壁性血栓が腸骨動脈枝に騎乗するため生じ、後肢の冷感と麻痩、大腿動脈脈拍の欠知が認められる。発現機序はわかっていないことが多い。
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*しかし実際は腸間膜動脈、冠動脈、大脳動脈、(上腕動脈)などにもつまる
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*腎動脈に血栓がある場合は急性腎不全を起こす。K,Caチェック
 
*疼痛が非常に強い。
 
*疼痛が非常に強い。
 
== ER対策 ==
 
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後足のパッド触って体温確認と股動脈を両側チェック
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留置ライン確保しICUで酸素化。
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酸素化しても痛みで開口してるかもしれないのでブプレノルフィンSC。痛み収まるまで一時間以上かかる
 
== 病因・病態生理 ==
 
== 病因・病態生理 ==
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自己免疫疾患や心内膜炎、左心房の血流が停滞し血栓が形成するなどの原因で血栓が腸骨動脈につまり発症
 
== 疫学 ==
 
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雄におおい(確かに)
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アビシニアン、ラグドールなどの特定品種があげられているが日本国内でどうか?(雑種個人的に多いと思います)
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後枝まひはたいてい両側でみる(体感)
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治療中に50%が死亡してしまう
 
== 臨床症状 ==
 
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股動脈拍が弱いか触知できず冷たい。
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パットのチアノーゼ(赤紫→紫→真っ白か薄ピンク色)
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*肢が動かないだけなら椎間板ヘルニア、脊髄腫瘍、外傷、糖尿病性ニュー ロパシー、重症筋無力症などないかチェック
 
== 診断 ==
 
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== 尿検査 ==
 
== 尿検査 ==

2015年11月11日 (水) 22:18時点における版

  • 心筋症(DCM,HCM,RCM)に伴う心臓の壁性血栓が腸骨動脈枝に騎乗するため生じ、後肢の冷感と麻痩、大腿動脈脈拍の欠知が認められる。発現機序はわかっていないことが多い。
  • しかし実際は腸間膜動脈、冠動脈、大脳動脈、(上腕動脈)などにもつまる
  • 腎動脈に血栓がある場合は急性腎不全を起こす。K,Caチェック
  • 疼痛が非常に強い。

ER対策

後足のパッド触って体温確認と股動脈を両側チェック 留置ライン確保しICUで酸素化。 酸素化しても痛みで開口してるかもしれないのでブプレノルフィンSC。痛み収まるまで一時間以上かかる

病因・病態生理

自己免疫疾患や心内膜炎、左心房の血流が停滞し血栓が形成するなどの原因で血栓が腸骨動脈につまり発症

疫学

雄におおい(確かに) アビシニアン、ラグドールなどの特定品種があげられているが日本国内でどうか?(雑種個人的に多いと思います) 後枝まひはたいてい両側でみる(体感) 治療中に50%が死亡してしまう

臨床症状

股動脈拍が弱いか触知できず冷たい。 パットのチアノーゼ(赤紫→紫→真っ白か薄ピンク色)

  • 肢が動かないだけなら椎間板ヘルニア、脊髄腫瘍、外傷、糖尿病性ニュー ロパシー、重症筋無力症などないかチェック

診断

尿検査

血液検査

画像検査

エックス線

エコー

CT・MRI

治療

アルテプラーゼを参照

下の表はInfovetsより(後日引用元記載)



薬剤

用量

捕捉

疼痛管理

ブトルファノール

0.2-0.4mg/kg 2-4hrごと(SC/IM)


ブプレノルフィン

5-20μg/kg 6-8hrごと(SC/IM)


フェンタニル

3-5μg/kg slowly IV
その後2-5μg/kg/hr(CRI)


うっ血性心不全

フロセミド

o.5-2mg/kgTID(IV/SC)


ドブタミン

1-5 μg/kg/hr(CRI)


ピモベンダン



抗凝固剤

ダルテパリン

100U/kg SID-BID SC

汎用性があるので在庫置くならこれがいいか

抗血小板薬

アスピリン

5-75mg/kg 3日ごと PO

消火器症状が起こるので低用量から使う

クロピドグレル

1-3mg/kg SID PO


血栓溶解剤

アルテプラーゼ

当サイト「アルテプラーゼ参照」

3hr以内に使用する。再開通時の症状発現に注意する

高カルシウム血症対策

グルコン酸カルシウム

5-10mL/kgを10倍希釈


生理食塩水



インスリン



代謝性アシドーシス対策

重炭酸ナトリウム

1-2 mEq/kg slow IV