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犬糸状虫内に存在する偏性細胞内グラム陰性細菌であるボルバキア菌について記述する
 
犬糸状虫内に存在する偏性細胞内グラム陰性細菌であるボルバキア菌について記述する
 
mfを駆除しながらドキシサイクリンを使用すること。懸念されているのはmfがいる状態でドキシ使うと抵抗性が出てくるヤツがいるかもしれないから→インフォヴェッツ172参照
 
mfを駆除しながらドキシサイクリンを使用すること。懸念されているのはmfがいる状態でドキシ使うと抵抗性が出てくるヤツがいるかもしれないから→インフォヴェッツ172参照
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[[Category:人獣共通感染症]]
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== 感染と気温の関係 ==
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*蚊の体内でミクロフィラリアが発育・成熟するためには、18℃以上の温度が安定して24時間、約1ヵ月以上続くことが必要。
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**北海道ではあまり予防されない→が散発して発生あり
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**本土→四季に応じて4~12月が予防シーズンだが年中予防したほうが良い
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**沖縄→亜熱帯なので察してください
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*ミクロフィラリアが感染子虫L3に成熟するには、27℃で10~14日間必要。
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== 寿命 ==
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*成虫;5~6年
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*幼虫;2~3年
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*オカルト感染;約20~30%
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== 寄生部位 ==
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*肺動脈、右心室→初期、あまり症状でない。フィラリアが皮下で成長して三ヶ月程度でこの部位に寄生できるようになる
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*三尖弁、右心房、大静脈→感染数が多いと寄生部位が拡大する
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== 抗原検出検査 ==
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*陰性:フィラリアに感染していない。
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*フィラリアの未熟子虫に感染している。(6ヵ月未満の子虫)
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*雄の成虫のみに感染している。
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*雌虫が1~3隻しか寄生していない。
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*陽性:フィラリアの雌成虫に感染している。
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*フィラリアの雌成虫を最近駆除しても、虫の死後16週まで検出されることがある。
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== 病態発生 ==
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=== 肺血栓塞栓症 ===
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*症状:突然の発熱、微熱、喀血、努力性呼吸、可視粘膜蒼白などさまざま。
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*治療:ジピリダモール(1mg/kg)、ステロイド
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=== 肺動脈寄生 ===
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*肺動脈内膜の増殖性病変、虫体による塞栓
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*肺動脈狭窄、肺高血圧、喀血、右心不全(発咳、運動不耐性、貧血、失神)
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=== 大静脈症候群(Caval Syndrome ,VenaCavaSyndrome) ===
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*肺動脈から三尖弁へと移動して引き起こされる(→移動と教科書に書かれているが個人的に長くなって弁膜にかかり始めてるのも含まっていると思う)
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*血尿をする→実際はヘモグロビン尿(血管内溶血)
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*三尖弁機能低下
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*循環不全、血管内溶血
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== 治療時の注意点 ==
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*毎月投与するマクロライド系予防薬(イベルメクチン、モキシデクチン、セラメクチンなど)はミクロフィラリア駆除に効果的。
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*最初の投与後4~8時間に多数のミクロフィラリアが急激に死滅する。その時に嗜眠傾向、食欲不振、流涎、吐き気、脱糞、粘膜蒼白、頻脈などの全身性の副作用が見られることがある。
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*これが起こっても、たいていは一過性であり、通常はほとんど症状に気付かない程度。
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*血中にミクロフィラリアがいる犬の駆除時は、投与後8~12時間は注意深い観察が必要。
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*副作用が重度の場合はステロイドなどのショック療法を実施。
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*血中のミクロフィラリア数が少なくても起こりうるため、ミクロフィラリアがいる場合には駆除とステロイドを同時に実施する。
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== ベナケバを外科的に治療する場合の覚書 ==
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【岐阜大学】フレキシブル・アリゲーター鉗子 による犬糸状虫摘出術 http://www.animalhospital.gifu-u.ac.jp/seminar/pdf/file020_01.pdf
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2015年4月28日 (火) 21:12時点における最新版

犬糸状虫内に存在する偏性細胞内グラム陰性細菌であるボルバキア菌について記述する mfを駆除しながらドキシサイクリンを使用すること。懸念されているのはmfがいる状態でドキシ使うと抵抗性が出てくるヤツがいるかもしれないから→インフォヴェッツ172参照

感染と気温の関係

  • 蚊の体内でミクロフィラリアが発育・成熟するためには、18℃以上の温度が安定して24時間、約1ヵ月以上続くことが必要。
    • 北海道ではあまり予防されない→が散発して発生あり
    • 本土→四季に応じて4~12月が予防シーズンだが年中予防したほうが良い
    • 沖縄→亜熱帯なので察してください
  • ミクロフィラリアが感染子虫L3に成熟するには、27℃で10~14日間必要。

寿命

  • 成虫;5~6年
  • 幼虫;2~3年
  • オカルト感染;約20~30%

寄生部位

  • 肺動脈、右心室→初期、あまり症状でない。フィラリアが皮下で成長して三ヶ月程度でこの部位に寄生できるようになる
  • 三尖弁、右心房、大静脈→感染数が多いと寄生部位が拡大する

抗原検出検査

  • 陰性:フィラリアに感染していない。
  • フィラリアの未熟子虫に感染している。(6ヵ月未満の子虫)
  • 雄の成虫のみに感染している。
  • 雌虫が1~3隻しか寄生していない。
  • 陽性:フィラリアの雌成虫に感染している。
  • フィラリアの雌成虫を最近駆除しても、虫の死後16週まで検出されることがある。

病態発生

肺血栓塞栓症

  • 症状:突然の発熱、微熱、喀血、努力性呼吸、可視粘膜蒼白などさまざま。
  • 治療:ジピリダモール(1mg/kg)、ステロイド

肺動脈寄生

  • 肺動脈内膜の増殖性病変、虫体による塞栓
  • 肺動脈狭窄、肺高血圧、喀血、右心不全(発咳、運動不耐性、貧血、失神)

大静脈症候群(Caval Syndrome ,VenaCavaSyndrome)

  • 肺動脈から三尖弁へと移動して引き起こされる(→移動と教科書に書かれているが個人的に長くなって弁膜にかかり始めてるのも含まっていると思う)
  • 血尿をする→実際はヘモグロビン尿(血管内溶血)
  • 三尖弁機能低下
  • 循環不全、血管内溶血

治療時の注意点

  • 毎月投与するマクロライド系予防薬(イベルメクチン、モキシデクチン、セラメクチンなど)はミクロフィラリア駆除に効果的。
  • 最初の投与後4~8時間に多数のミクロフィラリアが急激に死滅する。その時に嗜眠傾向、食欲不振、流涎、吐き気、脱糞、粘膜蒼白、頻脈などの全身性の副作用が見られることがある。
  • これが起こっても、たいていは一過性であり、通常はほとんど症状に気付かない程度。
  • 血中にミクロフィラリアがいる犬の駆除時は、投与後8~12時間は注意深い観察が必要。
  • 副作用が重度の場合はステロイドなどのショック療法を実施。
  • 血中のミクロフィラリア数が少なくても起こりうるため、ミクロフィラリアがいる場合には駆除とステロイドを同時に実施する。


ベナケバを外科的に治療する場合の覚書

【岐阜大学】フレキシブル・アリゲーター鉗子 による犬糸状虫摘出術 http://www.animalhospital.gifu-u.ac.jp/seminar/pdf/file020_01.pdf

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