北野成昭(キタノナルアキ) 作『獣医志Wiki』はクリエイティブ・コモンズ 表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際 ライセンスで提供されています。
「エリスロポエチン」の版間の差分
提供: 獣医志Wiki
細 (→毒性) |
細 |
||
行1: | 行1: | ||
== 薬品名 == | == 薬品名 == | ||
− | *エリスロポエチン(Epo) | + | *エリスロポエチン(Epo):Erythropoietin |
*ダルベポエチン | *ダルベポエチン | ||
+ | ;erythro:赤、血のという意味 | ||
+ | ;poietin:細胞の増殖や発育を刺激するという意味 | ||
+ | |||
== 商品名 == | == 商品名 == | ||
*エポジン | *エポジン | ||
行11: | 行14: | ||
**[[蛋白同化ステロイド]]よりも有効。 | **[[蛋白同化ステロイド]]よりも有効。 | ||
**高価であることと、抗体が産生されることが欠点。 | **高価であることと、抗体が産生されることが欠点。 | ||
− | + | *一部の[[骨髄異形成症候群]](MDS)←あくまで人(200IU/kgの高用量で使用されている) | |
+ | == 薬の作用機序 == | ||
+ | *骨髄での赤血球産生を促進 | ||
+ | *酸素分圧が下がった際に腎臓から分泌 | ||
+ | *腎皮質の間質にある線維芽細胞から合成 | ||
+ | *肝臓でもEpoは作られる(胎児期) | ||
== 薬用量 == | == 薬用量 == | ||
エリスロポエチン | エリスロポエチン | ||
行38: | 行46: | ||
*エリスロポエチンは連続で使用すると抗体ができて効果がさがる | *エリスロポエチンは連続で使用すると抗体ができて効果がさがる | ||
**Hctが20以下になってから使用する。目標とするHctは35-40 | **Hctが20以下になってから使用する。目標とするHctは35-40 | ||
+ | **あくまで参考だが6-8週で50%の動物で効果がなくなる | ||
*人のエリスロポエチン製剤を獣医学領域では用いる。リコンビナント製剤はない | *人のエリスロポエチン製剤を獣医学領域では用いる。リコンビナント製剤はない | ||
== 毒性 == | == 毒性 == | ||
− | 腎細胞癌がEpoを大量に産生し赤血球増多症を引き起こす事がある | + | *腎細胞癌がEpoを大量に産生し赤血球増多症を引き起こす事がある |
+ | **腎臓を摘出する場合片側の腎臓のEpo産生はおそらく低下している、よって摘出後Epo不足で貧血を起こさないように管理するべきである | ||
== 代謝 == | == 代謝 == | ||
== その他 == | == その他 == | ||
*エリスロポエチンが免疫で効きが抑制されるならステロイドと同時に打つという発想→ステロイドは異化亢進し、蛋白源が減って造血の効率悪くなる? | *エリスロポエチンが免疫で効きが抑制されるならステロイドと同時に打つという発想→ステロイドは異化亢進し、蛋白源が減って造血の効率悪くなる? | ||
− | **上記のないように関してなにか知見ありましたら教えていただけると幸いです。 | + | **上記のないように関してなにか知見ありましたら教えていただけると幸いです。(よく考えたら自己免疫性溶血性疾患ではPreとか使うことはありますね) |
− | + | *猫の血中Epo濃度 | |
− | * | + | **12.0~32.0mU/mL |
− | * レニン
* | + | *腎臓の機能 |
+ | ** レニン
| ||
+ | ** エリスロポエチン | ||
+ | *
* カルシトリオール | ||
+ | *分子量34000の糖タンパク | ||
+ | *悪性腫瘍を有する患者で炎症性サイトカインが産生されるためトランスフェリンの産生を抑制したり、Epo分泌を抑制される |
2014年12月9日 (火) 04:06時点における版
薬品名
- エリスロポエチン(Epo):Erythropoietin
- ダルベポエチン
- erythro
- 赤、血のという意味
- poietin
- 細胞の増殖や発育を刺激するという意味
商品名
- エポジン
- エスポー
- 長時間作用し、抗体ができにくいと言われている。
- 長時間作用するので一週間に一回の注射で良い。
適応
薬の作用機序
- 骨髄での赤血球産生を促進
- 酸素分圧が下がった際に腎臓から分泌
- 腎皮質の間質にある線維芽細胞から合成
- 肝臓でもEpoは作られる(胎児期)
薬用量
エリスロポエチン
動物種 | 薬用量 | 注意項目 |
---|---|---|
犬・猫 | 50~150IU/kg | … |
- 100IU/kgから始めてみる(個人的なおすすめ)
- PCV(Hct)モニタリングしながら週1-2回に減量していく
ダルベポエチン
動物種 | 薬用量 | 注意項目 |
---|---|---|
犬・猫 | 1 μg/kg | … |
- ダルベポエチン1μgはエポエチン200IUと同等
- 週に一回でいいが三回分の量を一回で注射するという考え方で200IU打っている
- 動物種ごと
- 各動物種の補足事項
注意事項
- エリスロポエチンは連続で使用すると抗体ができて効果がさがる
- Hctが20以下になってから使用する。目標とするHctは35-40
- あくまで参考だが6-8週で50%の動物で効果がなくなる
- 人のエリスロポエチン製剤を獣医学領域では用いる。リコンビナント製剤はない
毒性
- 腎細胞癌がEpoを大量に産生し赤血球増多症を引き起こす事がある
- 腎臓を摘出する場合片側の腎臓のEpo産生はおそらく低下している、よって摘出後Epo不足で貧血を起こさないように管理するべきである
代謝
その他
- エリスロポエチンが免疫で効きが抑制されるならステロイドと同時に打つという発想→ステロイドは異化亢進し、蛋白源が減って造血の効率悪くなる?
- 上記のないように関してなにか知見ありましたら教えていただけると幸いです。(よく考えたら自己免疫性溶血性疾患ではPreとか使うことはありますね)
- 猫の血中Epo濃度
- 12.0~32.0mU/mL
- 腎臓の機能
- レニン
- エリスロポエチン
- * カルシトリオール
- 分子量34000の糖タンパク
- 悪性腫瘍を有する患者で炎症性サイトカインが産生されるためトランスフェリンの産生を抑制したり、Epo分泌を抑制される