北野成昭(キタノナルアキ) 作『獣医志Wiki』はクリエイティブ・コモンズ 表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際 ライセンスで提供されています。
シクロフォスファミド
提供: 獣医志Wiki
用量については体表面積を参照
- 血管外漏出による組織障害はない
- 同系統の抗癌剤としてはクロラムブシルの方がマイルド(遅効性で毒性マイルド)な印象
薬品名
シクロフォスファミド(サイクロフォスファミド)
- (英):cyclophosphamide
商品名
- エンドキサン(塩野義製薬)
溶解後24時間以内に使い切る。冷蔵で6日間
薬の作用機序
遺伝子に対するアルキル化
- 細胞周期非依存性
薬用量
通常は他の抗癌剤と併用するが、併用は副作用の増強に注意する
動物種 | 薬用量 | 注意項目 |
---|---|---|
犬 | PO 50mg/m2{BW35<なら1.5mg/kg BW10-35なら2mg/kg} 、4times/weekもしくは隔日 IV 200~250mg/m2one time /3weeks 体重が10-||… | |
猫 | PO2.5mg/kgもしくは50mg/m2 、4times/weekもしくは隔日 IV200mg/m2one time /3weeks |
… |
… | mg/m2 | … |
適応
- リンパ腫
- ドキソルビシンと組み合わせて以下に適応可能
- 軟部組織肉腫(英:STS)(VACプロトコール)
- 猫の乳腺腫瘍
- 血管肉腫
- 甲状腺癌
- 難治性可移植性性器肉腫
- その他
注意事項
- 無菌性出血性膀胱炎(犬)→フロセミドなどと併用して利尿させるようにする
毒性
- 催奇形性あり
代謝
- 肝臓で代謝され活性型となる。代謝過程の副産物としてアクロレイン(出血性無菌性膀胱炎の原因)が尿中に排泄される
- 2日程度で6割程排泄される。糞便中は多くて2%くらい→ご家庭で排泄管理の指導。
- シスプラチン、ゲムシタビン、ドキソルビシン、ビンクリスチン、ブレオマイシンは一週間くらい排泄物の対策をしてもらう必要性がある
副作用(発生頻度無視)
- 中等度の骨髄抑制(7~10日が最下点で好中球が減少していく)→回復に4weekかかる
- 白血球への影響と捉えるよりも、様々な細胞周期に様々な細胞に作用すると捉えておく
- 胃腸障害
- 脱毛
- 無菌性出血性膀胱炎
- 放射線療法と併用しないほうがよい。(シクロフォスファミド自体が放射線の動向に似ているしね。人で問題になった所があったのでご注意を)
その他
- 免疫介在性疾患に用いられる事もある、実際に報告も我が国に散見されるが効果の程は意見が分かれているため、今後評価していきたい。
- 肥満細胞腫で経験的に使用している先生がおられる
出血性膀胱炎になってしまった時
- 2次感染の予防
- 抗炎症剤の使用(ピロキシカム)
- ジメチルスルホキシド(DMSO)の膀胱内投与(20mlの20%DMSOを20分間膀胱内投与)
- 1%ホルマリンの膀胱内投与→DMSOの方が良いかも