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+ | LA/Ao比が高いという意味は左房が拡大している意味に近いが、必ずしも圧が高い訳ではない(心房はコンプライアンスが高く圧力が逃げる) | ||
+ | LA/Ao比が高いという意味は僧帽弁閉鎖不全では発咳の原因になるかどうかの指標になる | ||
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2015年4月22日 (水) 12:16時点における最新版
Bモード
左房径大動脈径比(LA/Ao比)
逆流や充分に左房から左室に血液が流入できず、代償的に左房に負担がかかった時にあがる。逆に低くなるのは左心系に血液があまり流入せず左心房が拡大してない等(脱水や出血やショック) LA/Ao比が高いという意味は左房が拡大している意味に近いが、必ずしも圧が高い訳ではない(心房はコンプライアンスが高く圧力が逃げる) LA/Ao比が高いという意味は僧帽弁閉鎖不全では発咳の原因になるかどうかの指標になる
正常値
- 犬
- 1.0~1.5
- 猫
- 1.0~1.6
心エコーまとめ
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病態生理 |
Bモード |
Mモード |
カラードプラ |
パルスドプラ |
連続波ドプラ |
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正常 |
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①右胸骨左室流出路 ②右胸骨左室流入路 ③右胸骨左室短軸像 ④右胸骨心基底部短軸 ⑤左心尖部四腔断面 ⑥左心尖部五腔断面 ⑦左胸骨心基底部 |
MR |
左心の容量負荷 →左房圧の上昇→肺静脈、肺毛細血管圧上昇 →鬱血 |
・LA、LVの拡大 ・MVの肥厚 |
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②⑤モザイク血流の確認 ※収縮期であること |
E波が1.5m/sec以上で重度 |
逆流速の測定 初期:5.5~6.0m/sec 悪化すると遅くなる |
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TR |
右心の容量負荷 右房圧の上昇→全身静脈圧上昇 →腹水、胸水 |
①RA,RVの拡大 ③心室中隔の平坦化 |
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②④⑤モザイク血流の確認 ※収縮期であること |
逆流速1.5~2.5m/sec 右室圧の上昇で3.0~4.0m/sec |
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肺高血圧症、肺動脈狭窄症に付随して起こるコトあり MRの3割でTRを合併している |
HCM |
うっ血性心不全、MR →心房拡張 →血流鬱血→血栓形成 |
①③④左室後壁中隔壁の肥厚 ①流出路の傷害がないか確認 ②左房内に血栓がないか確認 SAM:MVの奇異運動がないか確認 |
拡張末期径(R波直上) 正常4mm ※スイープスピードを早めに設定する |
2次的変化の確認 ②MRがないか ①⑥左室流出路障害の確認 |
左室拡張障害の確認 E/Aが1以下になる →さらに悪化すると偽正常化 |
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メインクーン・アメショー・ペルシャに好発 壁の肥厚:8mm以上で血栓発生が危惧 |
DCM |
心筋の緊張→刺激電導異常→不整脈 弁閉鎖不全→MR、TR |
①⑥四腔のバランスを確認 MV、RVでティザリングがないか確認 |
①③FSの測定 ①僧帽弁Mモード EPSSの測定 |
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FS 20~25% 軽度 15~20% 中程度 15%以下 重度 |
心タンポナーデ |
心嚢内圧上昇→心腔拡張障害 →静脈圧上昇 →うっ血肝、腹水、浮腫 |
心房壁の虚脱 心基底部周辺の腫瘤病変の精査 |
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CO(心拍出量) SV(1回拍出量)の測定 |
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心タンポナーデの原因疾患 1漏出性 うっ血性心不全 低アルブミン 心膜横隔膜ヘルニア 2滲出性 感染性心膜炎 非感染性心膜炎(特発性) 3出血性 外傷性 心臓腫瘍 特発性 |
犬糸状虫症 |
肺動脈の塞栓→肺血管抵抗の増大(肺高血圧) 右室の後負荷上昇、求心性肥大 |
④⑦肺動脈内に虫体 ①②RA RV内に虫体がいないか RAの拡大がないか 右室壁の肥厚→肺高血圧 |
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肺動脈弁逆流 TRがないか |
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PDA |
大動脈⇒肺動脈の短絡 左心の拡大→MRの合併 →肺動脈⇒大動脈の短絡。 |
①②左室の拡大がないか ③真円状に拡張した左心室 進行すると右心の円型化 |
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肺動脈弁以降の肺動脈内に広がるモザイク血流の観察 |
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連続的な血流で収縮期に最高値を示す血流を測定 |
Bモード 左心室が○型になる 連続波ドプラ 肺高血圧がない 4.0~5.5m/sec 肺高血圧に進行 4.0m/sec 進行 収縮期性パターン さらに進行 観察されなくなる |
VSD |
初期:左心系の容量負荷→MRの併発、大動脈弁逆流 中期:右心室圧の上昇→心室中隔の扁平化 末期:さらに右心室圧上昇→右心室の肥大、拡大 |
①②LA、LVの拡張がないか ③LVが真円状に拡張 |
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①LVからRVに噴出する血流を確認 ※収縮期に噴出する ※三尖弁狭窄、肺動脈弁逆流と類似するので注意 |
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①収縮期性の波型を確認する |
肺高血圧なし 5.0~6.0m/sec 中期 4.5m/sec以上 末期 血流なくなる ※MR、ARが付随している場合は早期の対策が必要 |
ASD |
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①RA,RVが拡張 ③RVが拡張 ④PAに異常がなければASDの疑いを持つ |
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②LA→RAに流入する血流を確認 ※モザイクではなく層流で観察されることが多い ※後大静脈からの還流血流との鑑別が大事 |
②④⑥短絡血流2m/sec以下 |
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ASDを診断した後は必ず両房室弁機能の評価を行う MR、TRが認められる場合は早期治療が必要 |
PS |
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①②右心室の求心性肥大 右心室壁厚の肥大 ③平坦化した心室中隔 ④⑦流出路、肺動脈弁の形状確認 ※運動性の異常、高輝度 |
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④⑦収縮期に右室→肺動脈に噴出するモザイク血流を確認 |
血流速計測 軽度 <3.5m/sec 中程度3.5~5.0m/sec 重度 >5.0m/sec |
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合併症(TR,ASD、VSD)の確認を行う |
AS |
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②③左心室壁の求心性肥大 ①異常な大動脈弁下構造 |
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①⑥収縮期大動脈遠位モザイク血流 |
大動脈血流2.0m/sec以上で診断 軽度<3.8m/sec 中程度3.8~5.0m/sec 重度5.0m/sec以上 |
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不整脈、MRの確認 |