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エキノコックス

318 バイト追加2016年2月27日 (土) 20:41
[[Category:人獣共通感染症]]
<html><a data-flickr-embed="true" href="https://www.flickr.com/photos/geshtalt/25312366795/in/dateposted/" title="エキノコックス"><img src="https://farm2.staticflickr.com/1619/25312366795_4826fd0d4f_z.jpg" width="640" height="640" alt="エキノコックス"></a></html>
== 宿主の違いからみたエキノコックス症 ==
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=== エキノコックスとは ===
-*世界的に重要な寄生虫性の人獣共通感染症-*従来は礼文島の風土病-*2002年12月に北海道の室内飼育犬に陽性例-*ヒト(中間宿主)の場合、放置すると致死的-*キツネや犬(終宿主)はほとんど無症状-*終宿主の治療は容易-*原因寄生虫種によって、単包性エキノコックス症(単包条虫)と多包性エキノコックス症(多包条虫)がある。-*1983年 網走管内で豚多包虫症を確認。-*近年、多包性エキノコックス症が北海道東部から北海道全域に拡大傾向-*4類感染症
=== 病原体 ===
-*エキノコックス属(4種)-*公衆衛生上重要な種--**E.multilocularis(多包条虫)--**E.granulosus(単包条虫)
=== 疫学 ===
-*20世紀になってヒトと物の交流によって北方諸島から侵入。-*最初の流行は毛皮と野ネズミ駆除目的に導入されたキツネに多包条虫感染個体があり礼文島で発生。1937年から1965年までに島民約8,200人のうち114名(1.4%)の患者。-*1965年以降の北海道東部の発生は感染キツネが流氷を介して北海道に侵入したと推定。この流行は1997年までに累計146名に達し、毎年数名の新しい患者が発生。1998年までに累計383名の患者。-*北海道以外での患者は77名。51名は国外での感染と推定。その他の感染ルートは不明。
=== 日本での発生 ===
-*1999年4月から届けられたのは全国で40例。その内、35例が多包条虫で5例が単包条虫。-*単包性エキノコックス症は1881年の熊本が初発生。現在まで70例の発生があり、その1/3は国外での感染が示唆。
=== 伴侶動物での感染 ===
-*1997~2002年 北海道の犬1,650頭で糞便内抗原陽性18頭(1.1%)、虫卵陽性6頭(0.4%)。-*2002年12月 札幌市内の室内飼育犬で虫卵陽性例確認。-*ネコについては170頭検査して抗原陽性4頭(2.4%)ただし、多包条虫卵の排出は認めていない。-*アンケート調査で、市部より郡部での飼育や、放し飼いと感染の関係あり。
=== 人の症状・診断・治療 ===
-*主に肝臓で病巣。肝臓がんと診断される場合もある。肺、脾臓、腎臓、脳、腸間膜、骨髄などに転移。放置すると90%以上が死亡。-*通常は以下の3期に分けられる。--**無症状期;成人で約10年、小児で約5年。--**進行期;胆管や血管を塞ぐたね肝機能障害。--**末期;通常6ヶ月で重度の肝機能不全、黄疸・腹水・浮腫を合併。さまざまな臓器に転移。-*診断;臨床的診断、ELISA法(第一次診断)、ウエスタンブロット法(第二次診断)。-*治療;外科的切除。自覚症状が出た後では治癒率低い。
=== 狐、犬、猫での症状・診断・治療 ===
-*通常は無症状。まれに下痢や血液を含む粘液塊を排泄。-*診断;剖検、糞便検査、糞便内抗原検出法。-*治療;プラジクアンテルは最も効果的。ただし、虫卵に対する効果なし。
==== 単包条虫 (Echinococcus granulosus) ====
===== 形態 =====
-*虫卵は直径約35μmで、六鉤幼虫が中に入っている。虫卵の形態は単包条虫の物も多包条虫の物も類似しており、両種の虫卵の区別は困難である。-*成虫は約7週間で体長2.5mm-*9.0mmに成熟し、終宿主の腸内に虫卵を放出し始める。終宿主に大きな病害を与えることはない。
===== 生活環(ライフサイクル) =====
<br />→終宿主が単包虫を含む中間宿主の臓器を食べる。
===== ヒトへの感染経路 =====-*病態--**虫卵から放出された六鉤幼虫が腸壁に侵入し、血流もしくはリンパ流にのって諸臓器 (肝、肺、脳など) に運ばれ幼虫期である単包虫を形成する。単包虫は様々な大きさの球形の限局性嚢胞性病変を形成する。嚢胞は漿液性の包虫液で満たされており、その中に多数の原頭節が生じる。
==== 多包条虫 (Echinococus multilocularis)(日本(北海道)に生息) ====
===== 形態 =====
-*虫卵は虫卵は直径約35μmで、六鉤幼虫が中に入っている。-*包虫は嚢に包まれ、包虫嚢胞を形成する。包虫嚢胞内の包虫には頭部しかない。-*成虫の体長は単包条虫より短く1.2mm-*3.7mmであり、体節が数個という小ぶりな条虫である。
===== 生活環(ライフサイクル) =====
ビューロクラット管理者
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