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MDR1

1,413 バイト追加2017年6月10日 (土) 02:59
**脳毛細血管内皮細胞のP糖タンパクは、体循環している異物(薬物など)が、脳や脊髄組織に流入して障害を起こさないようにする防御機能であるBBBの本体と考えられている
** MDR1遺伝子は癌細胞の多剤耐性獲得に関連している
**現場ではイベルメクチン類似薬物でCNSの有害作用を見かけることがよくある
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<html><a data-flickr-embed="true" href="https://www.flickr.com/photos/geshtalt/35207156795/in/dateposted/" title="株式会社ケーナインラボ"><img src="https://c1.staticflickr.com/5/4245/35207156795_56ba4d07b8.jpg" width="500" height="269" alt="株式会社ケーナインラボ"></a>
*[http://www.canine-lab.jp ケーナインラボ] 
== 臨床でのポイント ==
*mdr 1遺伝子のホモ変異を持つ動物は、イベルメクチン でハエウジ症、毛包虫症の治療をしてはならない。→国内ではアミトラズかな
*コリー、オーストラリアン・シェパードは高頻度に変異 を持つ。シェルティーも頻度は低いが変異遺伝子を持 つ。
*コリーやシェルティーでは、イベルメクチンの使用前に 遺伝子検査を行う
mdrと関係なく高用量で中毒症状を引き起こす
== 検査結果の判定基準 ==
;遺伝子変異なし:正常
;遺伝子変異あり(ホモ型):対象薬物で重篤な副作用の可能性がある
;遺伝子変異あり(ヘテロ型):対象薬物で用量用法に十分な注意が必要→低用量からスタートする
== MDR1の仕組み ==
**結果的に薬が高濃度に細胞内に蓄積され、MDR1遺伝子変異犬でP糖タンパク基質の薬剤を使用する際には、遺伝子型が正常な犬とは異なる投与計画を考慮しなくてはならない。
*MDR1遺伝子変異をもつ犬では、抗癌剤の代謝に影響して副作用を増強する可能性がある。しかし一方で、低用量での治療効果や通常は効果が低い脳腫瘍への治療効果が期待できる。さらに薬剤耐性が生じにくいといったプラスの側面もあるかもしれない。
 
== 夜間救急で見たケース ==
*コリーではなかったが、ニキビダニの治療でMDR1が欠損していたシーズがいて、副作用についてホームドクターでインフォームされてないと言うことでした。
*通常はインフォームしないことが多いため、獣医師は以下の基質薬剤を使用する際に注意喚起を検討してはいかがでしょうか?
== P糖タンパクの基質薬剤一覧 ==
=== ステロイド剤 ===
メチルプレドニゾロン、デキサメサゾン
 
== 参考文書 ==
comparative and veterinary pharmacology(Springer)
ビューロクラット管理者
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