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血管:病理学

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動脈

  • アミロイド沈着
    • 特定臓器の末梢動脈に好発する原発型と、形質細胞増生と血中グロブリン値の異常を伴う二次型があり、組織学的に中膜と内膜が硝子様に見え、血管壁の肥厚と硬直による内腔の狭窄が起こることがある。
  • 石灰沈着
    • 転移性石灰沈着は大血管では通常弾性板が豊富な中膜が石灰化するのに対し、小動脈では内弾性板が侵されやすい。一方、異栄養性石灰沈着では血管壁の変性部や壊死部に見られる。
    • 動脈硬化症
    • 動脈壁の肥厚、硬化、改築を示す限局性病変を動脈硬化症とよび、粥状硬化症、中膜硬化症、および細動脈硬化症にわけられる。
  • 動脈瘤および動脈破裂
    • 動脈の病的拡張を動脈瘤という。真性動脈瘤は変性、動脈硬化、炎症などによる動脈壁の脆弱化に起因し、家畜では馬の寄生虫性動脈炎の経過中に好発する。一方、解毒性動脈瘤は中膜壊死から始まり、内膜の亀裂を生じて血流が流れ込むことで生じる。
  • 血栓症、塞栓症
    • 家畜では多くが動脈内膜の刺激によって起こり、馬の前腸間膜動脈炎などが知られている。
    • 細菌性疣贅性心内膜炎から進展し、末梢動脈への二次性の梗塞転移が生じることもある。
    • 梗塞症は剥離血栓、脂肪、気体、組織片、細胞、腫瘍、寄生虫、その他の血管内異物により生じる。
    • 犬では糸状虫によることが多い。
  • 炎症
    • 動脈炎は動脈壁における炎症性滲出を主徴とし、しばしば内皮障害および血栓症をおこす。
    • 原因:寄生虫(普通円虫、犬糸状虫)、ウイルス(牛の悪性カタル熱、豚コレラ)、真菌(アスペルギルス症)

静脈

静脈は動脈よりも血流が緩徐なため、うっ血や炎症などによって血栓を生じやすい。動脈とは異なり、静脈炎は単独で起こることがほとんどなく、周囲組織の激しい炎症の際にみられる。

  • 牛の後大動脈血栓症:化膿性肝炎や肝膿瘍が後大動脈を巻き込んだ場合にみられ、剥離した遊離血栓が肺動脈を梗塞する。

リンパ管

腫瘍