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肝蛭症

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肝蛭


肝蛭

  • 原因)Fasciola hepatica(日本は日本産肝蛭Fasciola sp)
  • 発育環)糞便中の虫卵にミランシジウムを含み水中で孵化→中間宿主(ヒメモノアラガイ等)に侵入しスポロシストになる→セルカリアとなり水中に遊出→牛が経口摂取→小腸粘膜に侵入し腹腔内に入り肝臓に達する→肝臓内で幼若虫となり、総胆管に移動し成熟虫となり産卵
  • 症状)幼若虫の体内移行に伴う病害、成虫による最終寄生部位での寄生生態、また肺、子宮などの異所寄生。肝炎、黄疸、貧血など。
  • 診断)虫卵検査(沈殿法)、ゲル沈、ELISA、免疫血清学的検査
  • 治療)トリクラベンダゾール、ビチオノール
  • 予防)駆虫、草(サイレージにしたり、アンモニアや乾燥処理しメタセルカリアを失活させる)

肝蛭って?

  • 肝蛭は世界に広く分布する吸虫でウシ、ヒツジ、ヤギの肝臓に寄生して消化障害。
  • すべての哺乳類に感染。
  • ウシの寄生率は低下。一方、野生動物が保有宿主。
  • 自然農法による肝蛭症の増加を懸念?


病原虫

  • 日本のウシには肝蛭(Fasciola hepatica)巨大肝蛭(F.gigantica)が寄生。
  • ウシの糞便から肝蛭卵→ミランジウム→ヒメモノアラガイ→セルカリア→メタセルカリア→ウシ
  • 動物に感染すると、幼虫は体内移行した後、胆管に寄生。
    • 黄疸のある犬に注意
    • 農家の人が良くかかっていたが、減少傾向

ヒメモノアラガイ

https://ja.wikipedia.org/wiki/ヒメモノアラガイ

人での疫学

  • わが国では1926年が初発生。1990年までに65例。
  • 小児から老人まで。農業従事者が多い。
  • 手に付着したメタセルカリアによる経口感染。せりの生食やレバ刺しも報告。

人での症状

  • 心下部、右季肋骨痛、腹痛、発熱、体重減少、不安感。
  • 好酸球増多、アルカリフォスファターゼ、IgEの上昇。

人での診断

  • 臨床学的(症状、既往症、職歴、食習慣、渡航歴等)
  • 血液検査(好酸球増多、肝機能)
  • 寄生虫卵の検出(糞、胆汁、病変部)
  • 免疫学的診断(寒天ゲル内沈降反応、ELISA)

人での治療

  • 動物用医薬品であるビチオノール、トリクラベンダゾールが有効。