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無機物の代謝障害

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骨軟化症

成熟動物に発生するもの。要因は成長に伴うものではなく、泌乳と妊娠による低Ca血症。その病因・発生はくる病と同様。

くる病

発育中の若い動物に発生するもの。

  • 原因はビタミンDの欠乏とその活性化に必要な紫外線の不足、カルシウム欠乏、リン欠乏、飼料中のカルシウムとリンの顕著な不均衡、またカルシウムの吸収を妨げる慢性腸炎、ビタミンDの代謝異常の原因となる慢性腎疾患の時にも発生。
  • 原因
    • 飼料中のCaやpの不足、比率のアンバランス。特にPが少なくCaの豊富な飼料で飼育される幼牛に見られる。
    • ビタミンDの不足かつ紫外線に暴落されずに屋内で飼育された幼若動物に見られる。一般に子牛や子羊ではPの不足、子犬ではおもにビタミンDの欠乏によると言われる。
  • 症状
    • 発病は徐々に。犬では、3ケ月齢の幼犬に発し、関節の腫脹、前肢腕関節の変形および疼痛がみられ、肋骨と肋軟骨の接合部は腫大する(くる病念珠)。

グラステタニー

牛およびめん羊に発生し、種の原因で低Mg血症を引き起こし、興奮および痙攣などの神経症状を呈する疾患。

  • 原因
    • Mg欠乏でK過剰の土壌
    • 低温多湿の初春や秋期に発生が多く、特に早春では牧草のよく繁茂した牧野で、放牧後2~3週間以内に発生する。
    • 牧草の化学的組成。
    • ミネラル含量のアンバランス。
    • Nの過剰:第一胃内のアンモニウムを過剰に産生し、その結果としてアンモニアはPやMgと結合して不溶性のリン酸アンモマグネシウムとなるためMgの吸収が阻害。
    • Kおよび有機酸の過剰
  • 臨床病理
    • 低Mg血症。(Caは低値を示すこともあるが正常な例もある)。
    • テタニー牛ではCa/Mg比を重視している(上昇する)。
    • 子牛低Mg血症
      • 長期間全乳のみを飲み続け、急速に発育し続けることによって、持続性の低マグネシウム血症を発し、興奮、痙攣などの神経症状を呈する疾患。
      • 予防としては乾草の給与、Mg剤の飼料添加。

輸送テタニー

  • 原因
    • 輸送中の物理的ストレスが要因となり妊娠末期の牛あるいは緬羊に低Ca血症と低Mg血症が発現。
    • その要因としては、輸送前の過食、輸送中の24時間以上の絶食、絶水、および到着直後の過度の飲水と運動が挙げられる。
  • 症状
    • 本症状はグラステタニーと類似し、また末期には嗜眠状態に陥り、乳熟様姿勢をとる。
  • 臨床病理
    • 低Mg血症、低Ca血症および低iP血症。
    • 血糖および血中乳酸の増加。
    • 白血球の増加と好酸球数の減少。