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心血管系生理学:血液の循環
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血液の存在部位
- 体循環
- 大動脈、動脈、細動脈、毛細血管、静脈(計75%)
- 中心循環
- 心臓、肺循環(計25%)
肺を通る血液の量と体循環を通る血流量は等しいが次の点で異なっている
- 肺動脈とそれに附属する分岐は大動脈の壁より厚い。
- 肺の細動脈は体循環の細動脈と比較して、壁に平滑筋が少ない
血管の機能的分類
- 空気室血管:大動脈
- 脈動的な血流を定常流に近づけるように働く
- 抵抗血管:主に細動脈、小動脈
- 各器官への血液量および血圧を調節する
- 容量血管:静脈系血管
- 伸展性が高く、血液の貯蔵部位になる。末梢血液の約80%が含まれる。
- 交換血管:毛細血管
- 抵抗血管、括約血管受動的に反応する
- 括約血管:後細動脈終末部
- 短絡血管:動静脈吻合
血管抵抗
- ポアセイユの法則
- 血管の抵抗は半径の4乗に反比例する
総末梢抵抗
TPR(総末梢抵抗)=(大動脈圧-大静脈圧) / 心拍出量
体液交換
- スターリングの平衡
- 毛細血管の液体の移動は膠質浸透圧と静水圧によって方向付けられる
物質の交換
- 物質の交換
- 水溶性物質:(血漿電解質、ぶどう糖、アミノ酸など)⇒内皮細胞の小孔
- 脂溶性物質:(溶存O2、CO2、脂肪酸、アルコール、脂溶性ホルモンなど)⇒内皮細胞の小孔、または毛細血管細胞膜→細胞質→細胞膜→間質液→組織細胞
- 内皮細胞間の小孔の面積は表面積の1%程度→非脂溶性物質のほうが拡散効率は小さい
- 毛細血管小孔の組織による違い
- 肝臓:大(有窓毛細血管)。血漿タンパクが通過できる
- 利点
- 1.肝で合成されたタンパク→内皮細胞→血流
- 2.血漿タンパクに結合した毒物→肝細胞→解毒
- 利点
- 脳:穴は小!
- 水分子か電解質しか通さない:血液ー脳関門
- ぶどう糖→単体を介する(促通拡散)
リンパ系
- リンパ液:毛細血管から組織間隙に出た水の一部が毛細リンパ管に入り、リンパ液となる
- リンパ液の組成は細胞外液の組成と等しい
- →アルブミン、プロトロンビン等のタンパクは含まれる
- リンパ節:細菌等の異物のろ過、B細胞・T細胞の分裂増殖
- 輸入リンパ管→リンパ節(ろ過)→輸出リンパ管(1本)
水腫
間質液の水分が増大した状態
- 静脈圧の上昇:四肢の圧迫、心臓疾患
- 血漿タンパク濃度低下:肝臓での血漿タンパク合成低下、腎臓疾患、火傷
- リンパ系の障害:炎症性疾病、リンパ管を圧迫する腫瘍、寄生虫
- 外傷や抗原に対する、アレルギー反応の結果、ヒスタミン