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微量元素の代謝障害

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コバルト欠乏症(くわず病)

  • CoはビタミンB12の構成成分(反勿家畜ではルーメン細菌がCoよりビタミンB12を合成できる)。
  • 反芻獣で食欲不振、削痩、異嗜、被毛の矢沢、反芻の減退または廃絶、貧血などの症状を示す。
  • コバルト欠乏土壌が原因。
  • Co欠乏:Vit.B12の合成不足⇒プロピオン酸の代謝阻害⇒エネルギー獲得を抑制

銅欠乏症

  • 銅欠乏土壌で生産された牧草の採食(原発性銅欠乏)と、銅の消化管吸収と利用の阻害因子(主にモリブデン・硫黄・鉄・亜鉛etc.)により欠乏症となる。
  • 低色素性大球性貧血、慢性下痢、発育不良、被毛の退色、骨粗鬆症、繁殖障害、転倒病などを誘引する。
  • 牛と綿羊に多発し、子牛・豚では中枢神経障害が、牛の被毛・鶏の羽毛の退色がみられる。

鉄欠乏定

  • 症状
    • 貧血、呼吸困難。特に子豚では、造血機能が不完全の状態で生まれるため多発。
  • 治療・予防
    • 造血剤としてデキストラン鉄の筋肉内注射。
    • 体内のFeは、60~70%がHb、3~7%がMb、15%が酵素、15%が貯蔵鉄に含まれる。

亜鉛欠乏症

豚のバラケラトーシス (錯角化症)

  • 亜鉛の吸収を抑制するフィチン酸量が増加する要因(豆蛋白の給与、カルシウムの過剰給与、腸内フローラの異常、細菌またはウイルス感染)が関与。ビタミンA欠症が続発する。
  • 皮膚病変はおおむね左右対称性であり、組織学的にはび慢性の不完全角化亢進症を特徴とする表皮肥厚性皮膚炎、表皮には有棘屠肥厚、表皮突起の延長、基底層の細胞分裂像がしばしば見出される。

犬の亜鉛反応性皮膚炎

  • 2つの症候群からなる。第-の症候群は、シベリアン・ハスキーとアラスカン・マラミュートで起こり、ストレスによって誘発。
  • 病変は麟屑と痂皮を伴う皮膚炎で、顔面〈特に眼の周囲〉、口唇、鼻、体重負荷のかかる部位、足蹠に好発。第二の症候群は、成長期のカルシウムとフィチン酸塩の両者かまたはその一方の過剰給与にて生じた相対的な亜鉛欠乏症を原因とし、いずれの犬種の子犬にも生じる。
  • 肉眼病変は多発性・左右対称性で、体重負荷のかかる部位・四肢・体幹に、麟屑、痂皮を伴う局面が現れる。足蹠には著明な肥厚と亀裂が生じる。
  • 組織学的には、表皮肥厚・表皮と毛包開口部の著しい不全角化性角化亢進、中等度に至る表皮上層性血管周囲性単核細胞性または好酸球性皮膚炎がみられる。

マンガン欠乏症

  • ピルビン酸カルボキシラーゼの構成成分で、多くの酵素を活性化し糖代謝に重要。マンガン欠乏は動物の不妊症、先天性または後天性の骨格の変形を招くが、日本では普通の飼料条件下では欠乏は起こりにくく、報告はない。
  • 鶏の脚弱症 (ペローシス):生後2~6週齢の雛に発生。鶏は哺乳動物に比べ発育や産卵にMnをより多く必要とするので、発生しやすい。

ヨード欠乏症

単純性甲状腺腫

  • ヨードは、生体に不可欠な甲状腺ホルモン(幼齢動物の成長・成熟促進、成熟動物の基礎代謝維持作用)の成分。
  • 甲状腺腫:地方病。牛では新生子牛の虚弱・被毛の発育不良や妊娠牛の流産など。豚では頸部肥大・無毛な虚弱子の出産。