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化学療法薬:合成抗菌性物質

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(1) 作用機序

a. 作用機序

細菌の発現必須物質であるパラアミノ安息香酸(PABA)に競合拮抗して、静菌的に作用する。
※葉酸合成系を欠く微生物、哺乳類、鳥類には作用しない。(選択毒性が高い)

b. 抗菌スペクトル


グラム陽性菌・一部のグラム陰性桿菌・放線菌・トキソプラズマ・原虫に有効。

c. 吸収・運命

  • 吸収速度は、その薬物の溶解性に比例
  • 血漿蛋白と結合しやすいものは、作用が持続。
  • 4位のアセチル化、酸化を受けるか、あるいは未変化体のまま尿中に排泄。

d. 毒性

  • 急性・・・嘔吐、めまい、貧血
  • 慢性・・・腸内細菌の抑制・ビタミン代謝抑制
    腎障害(アセチル化体は尿pHが低いほど析出し再結晶化→尿路結石)

e. 分類

  1. 難溶性・・・スルファジアジン・・・外用(創面消毒)
  2. 易溶性・・・スルフィソキサゾール・・・尿路感染用
  3. 持続性・・・スルファジメトキシン・・・吸収速く排泄遅い
  4. 難吸収性・・・ホモスルファミン・・・外用

*スルファモノメトキシン(sulfamonnomethoxine)

  ・吸収が速く、排泄は遅い。   ・持続性サルファ剤

*サルファ剤*トリメトプリム合剤(S*T合剤)

    ・サルファ剤との間に著しい相乗効果     ・呼吸器系、尿路感染症、敗血症に有効

*<細菌のDNA合成における各薬物の作用点>

サルファ

(2) ニトロフラン誘導体

  • 細菌の炭水化物代謝を阻害することにより、殺菌的に作用する。
  • 消化管吸収が悪いので腸内感染症、コクシジウム症に効果。
  • フラゾリドン(furazdidone)などがある。

(3) ニューキノロン系

  • 抗菌スペクトルが広く、グラム陽性、陰性菌の大部分、マイコプラズマに有効
  • グラム陰性菌には既存の薬剤よりも全般的に優れていて、耐性菌にも有効
  • 家畜の広範な応用に対する耐性菌により、人間の治療に支障を来す恐れもあり、『第一次選択剤が無効な症例のみに応用すること』という制約が付けられている。
  • オフロキサシン(ofloxacin)がある