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ホルネル症候群
提供: 獣医志Wiki
- ホルネル症候群
- ホーナー症候群、Horner症候群などと記載されている場合もある。交感神経緊張の低下により第三眼瞼突出、下垂および縮瞳を伴う。
目次
ER対策
重篤にならないことが多いが、併発疾患に注意
病因・病態生理
中耳/内耳疾患、腫瘍、炎症、特発性
疫学
猫に多い気がする 犬では頚部腫瘤で発症している様な印象がある
臨床症状
- 瞬膜の露出、縮瞳、眼裂の縮小、眼球陥没、眼瞼下垂など。
- 疼痛はないが眼以外の疼痛を探る必要性はある
- 中耳炎でホルネル症候群が引き起こされるのは、鼓室を通る交感神経線維(鼓室神経叢)が障害を受けるからである。
診断
- フェニレフリンで病変部位の特定
- 節後性:20分で散瞳
- 節前性:40分で散瞳
尿検査
血液検査
画像検査
エックス線
エコー
CT・MRI
CT
単準CT
造影CT
MRI
T1強調画像
T2強調画像
FLAIR画像
治療
- 節前性および節後性が原因ならいいが中枢性の場合は治療困難
- 特発性は自然に治ることが多いが神経細胞の障害が強い場合は難しい
- ネオシネジンあるいはエピスタの1日2回点眼
- 眼瞼の挙上と瞬膜の後退が認められれば予後良好
復する
障害部位ごとに起こる症状の例
- 中枢障害
- 脳動脈の血栓症、脊髄の血腫、腫瘍、炎症など
- 節前障害
- 胸部疾患(胸膜炎、肺炎、気胸、前縦隔リンパ腫など) 頚部疾患(甲状腺腫、鼻咽頭腫瘍、リンパ腫、頚部の外科的処置や窒息など)
- 節後障害
- 眼窩疾患、中耳疾患
鑑別診断
- 脱水
- 両眼性の眼球陥没や第3眼瞼の突出を示す、縮瞳は認めない。
- 前ブドウ膜炎
- 縮瞳を認める、眼球陥没や第3眼瞼の突出は認めない。
- 猫の両側性第3眼瞼突出
- 縮瞳を認めない。
その他
- 縮瞳ではなく散瞳を常時している場合第二第三脳神経の障害を疑う。視力があるなら第Ⅲ脳神経が障害を受けているのかもしれない。
- 末梢性前庭疾患と併発していることがある
- 両側性にホルネル症候群が見られることがある。
- 原発性上皮小体機能亢進症で併発している事が稀にある
参考:J-Vet2013 12月号 /特集 脊椎の救急医療評価と診断 甲状腺癌でホルネル症候群が起こる理由がぱっとわからない方は解剖少し思い出してみてください↓