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カテゴリ:動物行動学



治療形態

  • 訪問型:
    • 利点 実際に動物が生活している環境を見ることが出来る
    • 欠点 時間がかかる 病院のほうが便利な場合面倒
行動変容
学習理論に基づき、行動を変化させること。環境刺激の操作、環境刺激と行動の随伴性の操作を行う


行動変容の技法

古典的条件付け関連

massing法
(恐怖刺激のような条件刺激を繰り返し提示)
flooding法
(連続的に条件刺激にさらすこと、馴化)
implosion法
(条件刺激の特定後、得られた刺激を並べて刺激の弱いものから順に不安を消していく、脱感作)
  • 拮抗条件付け法(条件付けられている感情と拮抗する感情(恐怖→安心)をその刺激に条件付ける)
  • 系統的脱感作法(刺激を特定し刺激の大きさを調整し小さいものから順に脱感作していく)
  • 嫌悪条件付け法(条件反応に対し積極的に嫌悪性の無条件刺激を連合させる)
  • オペラント条件付け関連
    • 他行動分化強化(ある行動をしなかったら強化子を提示する。その行動をとったら強化子を取り上げる)
    • 非両立行動分化強化 (同時には出来ない行動を形成し強化する)
    • 代替行動分化強化 (同時に出来る別の行動を強化する)
    • 罰技法(反応自体が強化になっている場合に用いる。反応に随伴して嫌悪刺激を提示したり、強化子を取り除くことにより反応頻度を下げていく)

子犬に首輪を付けるまでのトレーニング法

薬物療法

:薬物療法は補助的な治療であり、行動変容が主である

  • 三環系抗うつ剤(セロトニンを増加)
  • βブロッカー(アドレナリンをブロック)
  • ベンゾジアゼピン薬物(GABAの作用を強める)

手術療法

去勢術
マウンティング、マーキング、放浪癖、テリトリー意識の減少
避妊手術
犬の偽妊娠時の攻撃行動、発情前後の不服従に効果有り。攻撃行動の激化の可能性も示唆
声帯除去術
吠えの最終的治療法、安楽死の選択と平行
犬歯切断術
声帯除去術と同じ選択基準、飼い主の生命保護を考える場合
抜爪術・切腱術
猫の爪とぎ、攻撃行動の被害を減少
嗅覚路切断術
猫のマーキング治療
食事療法
セロトニン量を増やすのが目的、低蛋白食推奨(犬のみ、猫は高蛋白)

攻撃行動

  • 原因となる疾患
    • 狂犬病、ジステンバー、トキソプラズマ症、甲状腺機能亢進症、甲状腺機能低、下症、てんかん、脳腫瘍、水頭症、歯牙疾患、外耳炎、外傷、関節炎etc…
  • 関連する神経伝達物質
    • (誘発)ノルエピネフリン、ドパミン、グルタミン酸、エンドルフィン、アセチルコリン
    • (抑制)セロトニン、GABA、エンドルフィン)

犬の攻撃行動

  • 優位性攻撃行動:群れの順位を争っての攻撃行動。攻撃は能動的で制御されている。対象は同居犬、非常に近しい犬
  • 恐怖による攻撃行動:恐怖刺激に対する受動的な攻撃が強化。対象は人間・動物・物・状況といった恐怖刺激
  • 不安による攻撃行動:不安が生じたときに不安回避を目的とした能動的攻撃行動。対象は恐怖刺激と結びついている人間・動物・物・状況
  • 所有欲による攻撃行動:大事なものを取られたときにとる能動的攻撃行動対象はそのものを取った人間・動物
  • テリトリー攻撃行動:テリトリーを侵すものに対する能動的攻撃行動対象はテリトリーを侵した他人・動物.雄のほうがテリトリー意識は高い
  • 捕食性攻撃行動:獲物に対する激しい能動的攻撃行動。対象は獲物として認識された人間・動物
  • 特発性攻撃行動:原因不明の攻撃行動。遺伝形質が強く関与


猫の攻撃行動

  • 恐怖による攻撃行動:犬と同じ
  • 転嫁による攻撃行動:興奮状態の猫が起こす攻撃行動。対象は実際の攻撃対象に物理的な障害が原因で近づけないときに猫のそばにいて何らかの刺激を与えた人間・動物・物。
  • テリトリー攻撃行動:同種間のテリトリー意識が犬より強いこと以外は犬と同じ
  • 捕食性攻撃行動:対象は小動物(ネズミ・鳥他)

恐怖・不安関連の問題行動

  • 恐怖に対する感受性が最も高い時期は犬で8週令、猫で6週令ころ恐怖を感じたときに動物が示す行動
  • 攻撃、逃走、パニック、不動化
    • ストレスサイン(パンティング、流涎、排泄、無関心、吠え、鼻鳴らし、 震え、多動、食欲不振など)
  • 転位行動:当該する状況において意味を成さない他の行動

関連する神経伝達物質

    • (誘発)ノルエピネフリン、ドパミン、セロトニン過多

(**抑制)セロトニン、GABA


      • 犬猫の恐怖症:雷・花火・台風恐怖症、病院恐怖症、車・ドライブ恐怖症。初めての場所に対する恐怖症、生物に対する恐怖症。ケージ恐怖症。
      • 分離不安:自分が取り残されるという状況に対する不安が原因の強い不安兆候。犬が仲間(家族、同居動物など)と分離された状況下で起こる
      • 強迫障害:常同行動が不安によって誘発され、高頻度・長時間・持続的に繰り返し、行動の制御が困難で動物及び飼い主の生活を妨げる場合
  • ※常同行動:不適切な環境下で飼育されている動物でよく観察される檻の前

       を行ったりきたりするような無目的な反復性の行動

吠え

吠える因子 要求(アテンションシーキング)、警戒(テリトリーによる攻撃行動)、挨拶 警告(テリトリーによる攻撃行動)、注目喚起(アテンションシーキング) 孤独(分離不安の症候)、強迫障害、認知障害

直接的な祖先はタイリクオオカミといわれている。約700~800種存在。

リビアヤマネコが祖先。全世界に100種が存在。


ネオテニー

成長後にも見られる進化の過程、幼形成熟ともいう

生得的行動

向性、無条件反射、本能的行動といった生まれたときから備わり,発育段階に対応してひとりでに発現する行動。同種間では個体差は少ない

習得的行動

学習などによる以前の経験により行動を適応的に変容させて発現する行動。同種間でも個体差は大きい


生得的行動と習得的行動

本質的因子:犬種、性差、性質、社会科の程度 ==v2b16877== 外来的因子;強化子の種類とタイミング、環境 ==kc603e0a==

刷り込み
生後まもなく経験した刺激に対してその後も愛着行動を示すこと。刷り込みが起きる一定期間を臨界期とよぶ
般性強化子
様々な強化子と結びついた強化子。飼い主など
反応形成
Shaping.オペラント水準が低い行動の条件付けに用いる自動反応形成、身体的誘導法、モデリング法、誘発法などがある
消去バースト
強化から消去に手続きを変更した直後に起こる反応の増強
馴化
または慣化。行動を誘起する刺激に繰り返しさらされると引き起こされる反応がだんだん少なくなること。刺激が弱いほど馴化の速度は速い。馴化した反応は時間がたつと再び回復して起こるようになる
刺激特定性
ある特定の刺激に対して条件反応が形成されること
刺激般化
条件刺激に類似した刺激に対し、同様の反応が形成されること~
  • 条件付けには連続強化が有効。消去抵抗は部分強化が勝る
  • 固定比率スケジュールでは強化直後にはほとんど反応が生じない。強化後反応休止が見られるが変動比率スケジュールではひたすら反応し続ける
  • 情動行動には辺縁系と視床下部が深く関わっている


神経伝達物質とキーワード

    • ノルエピネフリン:中脳。ストレス時や嫌悪刺激により分泌。覚醒・心機能増強を起こし、摂食・性行動を抑制
    • ドパミン:中脳黒質、腹側被蓋。自発行動を起こす動機付けや運動にするグルタミン酸の放出を調整
    • 興奮性アミノ酸:グルタミン酸。主要な興奮性伝達物質。記憶、学習に関与ドパミン放出を調整
    • セロトニン:脳幹の縫線核。低セロトニンは鬱状態、高セロトニンは自信をもたらす
    • GABA:ベンゾジアゼピン。抑制性伝達物質として働く。葛藤を抑制し、抗不安作用、抗発作作用、摂食と飲水の亢進、認識低下などを示す
    • アセチルコリン:大脳皮質、視床。睡眠、学習、記憶に関与。低アセチルコリンはアルツハイマー症候群をもたらす
    • オピオイド:中脳水道周囲灰白質、腹側被蓋、黒質。生体内麻薬。鎮痛や褒賞感覚をもたらす
    • コレシストキニン・カルシトニンは食欲を抑制する

感覚の発達と行動

==c1ad5e95==
  • 触覚:猫は高い触角感受性を持っている
  • バランス感覚:猫はとても優れている
  • 聴覚:犬の外耳道は5週令で完全に開く。20~80000ヘルツを聞き取れる、ただし200~4000は人間より低い。**犬種間に差は無い
    • 猫の外耳道は17日で完全に開く。20~80000ヘルツを聞き取れる。犬より広域の音を聞ける
  • 視覚:犬は16日で完全に開く。視野は240~290度で犬種間に差がある

   **猫は17日で完全に開く。瞳孔の大きさを瞬時に変化させることが出来る    **人間の1/8の照度でものを見ることが出来る、人間ほど視力は発達してないといった特性がある

  • 味覚:犬は甘味、塩味、苦味、酸味、旨味、の受容器がある。猫は甘味の受容器が無い。30度付近で感度が高くなる
  • 嗅覚:犬では非常に優れている。猫では鋤鼻器が発達。フェロモンの分析を行う

犬のコミュニケーション手段と行動

==uc3007fd==

聴覚(吠え)を利用 8週令までの吠えに警告の意味は無い。12週令から。多頭飼育は吠えを助長 ハイピッチな吠え:挨拶・遊びの勧誘 低い声:警告・競争・防御 遠吠え:縄張り・個体識別・応答・他個体へ呼びかけ 唸り:攻撃性・遊び・防御・威嚇・警告・満足 ※必ずしも攻撃を意味しない 鼻鳴らし:挨拶・欲求不満・服従・苦痛 視覚を利用 優位を示す:尾を高く上げ耳を立てる、尾を高く保ち速く振る 服従を示す:尾を巻き耳を寝かせ頭を下げる、相手の口の周りを舐める       目をそらす、尾を尻を振るように振る 攻撃を示す:犬歯を見せるように口を開き首や背の毛を立てる(能動的)       口を大きく開き服従姿勢をとる(受動的)

※カーミングシグナル:相手をなだめたり安心させたりするための姿勢 相手をなだめる:素早く鼻を舐める、不動化、行動の速度を落とす 自分をなだめる:においをかぐ、あくびをする、体をかく 嗅覚を利用 主に存在やテリトリーを誇示する、自分のにおいを隠すなどの目的 尿:雄犬のマーキングの頻度は雌犬の約30倍 肛門嚢分泌物:強い恐怖を感じたとき、困窮時に排出 アポクリン腺分泌物:皮脂腺から分泌。フェロモンを多く含む。 他に便、異臭のこすりつけなど

※フェロモン:求愛行動、生殖行動、育子行動の発現や制御の作用をもつ        生体内から分泌される化学物質。鋤鼻嗅覚系を介して情動を        司る視床下部や辺縁系への情報が伝わる。普通のホルモンと        異なり体内ではなく体外に分泌され相手に影響を与える

  • 猫のコミュニケーション手段と行動 ==v67f089a==

聴覚を利用 ごろごろ音:満足時、不安時、挨拶、食べ物を要求、注意を引くなどの意味       リラックスしていて攻撃をしないことを示す 呼び声:人を呼ぶ、雌猫が交尾を許容するとき 唸り声:警戒時 シャーフー:驚いているとき 視覚を利用 遊び:子猫時代のみ。取っ組み合い 友好を示す:尾を立ててゆっくり近寄る 威嚇を示す:前を向いたヒゲ、歯をむき出し、膨らませた尾、正面から接近       収縮した瞳孔によるアイコンタクト(攻撃的威嚇)       耳は後ろ、歯をむき出し、毛を逆立て、斜めから接近、       口角は後ろ(防衛的威嚇) 嗅覚を利用 アポクリン腺分泌物:口の周り、顎、肛門周囲、耳の付け根をこすりつける           テリトリーの主張、仲間同士の挨拶。フェロモンを含む 尿:個体の識別、発情状態、テリトリーの主張。マーキングは雄で多いが   雌でも発情期に多くみられる。フェロモンを含む 他に肛門嚢分泌物、引っかきなどがある


飲水行動

授乳期に水の要求量が増える 犬:成犬の平均飲水量は65~70ml/kg 猫:水の要求量が少ない。成猫では1日200ml程度

摂食行動

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猫のほうが肉食の傾向が強い。食べ物の好みは幼少時の摂食経験に強い 影響を受ける。妊娠後期および授乳期の雌では要求量が増える 発情中の雌は摂食量が減少する

安静時エネルギー要求量(RER) 
RER=30×(体重kg)*70 ※2~45kgの動物にのみ適応

一日あたりのエネルギー必要量(DER) 避妊・去勢 未:犬では1.8×RER猫では1.4×RER 避妊・去勢 済:犬では1.6×RER猫では1.2×RER 妊娠後期   :犬では3×RER猫では2×RER 授乳期    :犬では4~8×RER猫では2~6×RER 子犬の摂食行動 誕生後2時間以内に母乳。専用の乳頭は決めない。離乳は4~6週間目から 始まり60日までに終了する 子猫の摂食行動 誕生後2時間以内に母乳。8割は専用の乳頭を2~3日目に決定。 1週目では約4時間、2週目では約3時間、3週目では2時間を乳飲みに費やす 4週令の終わりから離乳が始まり8~10週令には終了 成犬の摂食行動 自由に摂食させると1日に3~5回程度。多頭飼育は摂食量を増加させる 小型犬のほうが嗜好に偏りがある 成猫の摂食行動 多頭飼育と摂食量は無関係。犬より嗜好の偏りが強い。味より臭いで嗜好決定 植物を摂取するのは毛玉処理のため

捕食行動

==ebffa4a8==

獲物を見つける→忍び寄る→追いかける→襲う→殺す→食べる 犬:子犬同士の遊びで「襲う」までを身につける、「食べる」まではほとんどしない。犬種によって差がある 鳥猟犬:?「忍び寄る」または「追いかける」まで 牧羊犬:?「忍び寄る」、「追いかける」または「襲う」まで 獣猟犬:?「追いかける」、「襲う」または「殺す」まで 猫:空腹時にのみ狩りをするわけではない。狩りは母猫が教える


排泄行動

子犬の排尿行動:平均して1時間ごとに排尿         月齢+1時間=排尿を我慢できる時間 成犬の排尿行動:1日に3~5回。未去勢雄、発情期の雌は回数が増える 子犬の排便行動:平均して1日に5~6回 成犬の排便行動:1日に2~3回 猫の排尿行動:1日に平均2~3回。スプレーの場合20回前後まで増える

休息行動

Non-REM睡眠
  • 徐波睡眠とも呼ばれ脳波の違いで低振幅速波の第1段階、

        *睡眠紡錘波が現れる第2段階、*周波数が低下し振幅が増大         する第3段階、*さらに周波数が下がる第4段階に分けられる

REM睡眠
呼吸不正、ひげのぴくつき、指伸ばし、眼球の動きなど

      このときに夢を見る

  • 犬:新生子は96%を睡眠に費やし、その睡眠の99%はREMまたはNon-REM

  の第4段階である。35日令で睡眠時間は48%になる。成犬ではREM睡眠   は10%。16分間睡眠、5分間覚醒を繰り返す(外飼いの場合)睡眠の60%を   夜間にとる。年をとると睡眠時間は延長する

  • 猫:Non-REM睡眠を経ずにREM睡眠に入ることができる。REM睡眠は成長

  とともに減っていく。3ヶ月で成猫と似た睡眠形式をとり50%の時間を   睡眠に費やす。成猫ではNon-REM睡眠が75%、REM睡眠が25%を占め、   10時間程度の睡眠をとる。夜間に75%以上の睡眠をとる。年をとると   睡眠時間は延びるがREM睡眠の割合は少ない

グルーミング行動

グルーミング行動
目的は美しい被毛の維持、健康な皮膚の維持、怪我の治療、子犬やっ子猫の ==k9d49155==

排泄促進、体温調節など

  • 犬:下位の犬が上位の犬の、または子犬が母犬の口吻をなめるグルーミングが一般的
  • 猫:4~15%の時間をグルーミングに費やす。生後2週間から観察される。

高齢動物の行動

高齢動物の行動
ストレス耐性の低下や認知能力の低下が特徴。高齢動物とは7歳以上を指す ==c7e872af==
  • 注意すべき疾患
    • 甲状腺機能亢進、低下症、副腎皮質機能亢進症、糖尿病、心臓疾患、腎臓疾患、腫瘍、関節炎、歯牙疾患

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最終更新: 2014年12月1日 (月) 05:20