食鳥肉の衛生
- 1)食鳥検査法(平成2 年制定、平成3 年4 月から施行)
- 2)対象食鳥:鶏、アヒルおよび七面鳥
- 3)食鳥検査制度の目的:
- a.鳥の疾病排除(人獣共通感染症)
- b.生微生物のコントロール(とくに食中毒起因菌)
- c.抗生物質・抗菌物質や農薬などの有害残留物質の汚染排除
- 4)食鳥処理場
- a.年間30万羽以上の処理場:各都道府県の獣医師(食鳥検査員)による検査
- b.年間30万羽以下の処理場:食鳥処稗衛生管理者による検査(必ずしも獣医師とは限らない)(認定小規模処理施設)都道府県知事に報告義務
- 5)食鳥処理工程と衛生(厚生省「食鳥処理加工指導要領」)
生体検査→ 屠殺→放血・脱羽(食鳥と体)→脱羽後検査→中抜き→(鳥中抜きと体)→内臓摘出後検査→冷却・解体→包装→可食内臓処理
- 屠殺(放血) 頚動脈放血1.5~2分全血量の50 %
- 脱羽(湯漬) 低温51~54℃90~120 秒:ブ口イラー
- 中温59~61℃40~90 秒:ブロイラー、成鶏
- 高温71~82℃30~60 秒:アヒル、カモなど
- 脱羽機を用いて噴射水洗しながら行い、脱羽後水洗する。
- 中抜き 人手か中抜き機、腸内容物の漏出で汚染しないよう注意
- 冷却 と体は冷却処理中に水分を吸収(水分吸収の多いものは好まれない)
- 解体 室温15℃以下で短時間に行う
- 冷却、包装等 製品は15℃以下(5℃以下がよい) に冷却、保管
- 凍結(中心温度-15℃)は速やかに行う
- 製品は有蓋の容器に収めるか合成樹脂フィルムなどに包装して運搬(合格またはと殺禁止)
- Ⅰ.生体検査 屠殺前、望診→異常の疑いあれば一羽毎に更に検査、判定
- Ⅱ.脱羽後検査 一羽毎、体表の状況を望診、触診
- (合格または 内臓摘出禁止) →異常の疑いあればと体について更に検査、判定
- Ⅲ.内臓摘出後検査 一羽毎、内臓、中抜きと体の体壁の内側面の状況を望診、触診
- (合格または 全部廃棄) →異常の疑いあれば更に検査、判定
食鳥検査対象および措置を講ずべき疾病名等
- 家禽ペスト
- 狂大病
- 鶏痘
- 伝染性気管支炎
- 伝染性喉頭気管炎
- 鶏白血病
- 封入体肝炎
- マレック病
- オウム病
- 家禽コレラ
- 結核病
- 大腸菌症
- 豚丹毒
- ニューカッスル病
- 伝染性コリーザ 毒血症
- 膿毒症
- ブドウ球菌症
- トキソプラズマ病
- 尿酸塩沈着症
- 敗血症
- 真菌症
- 寄生虫病
- リステリア病
- 変性水腫
- 腹水症
- 炎症
- 放血不良
- 出血
- 萎縮
- 黄疸
- 外傷
- 臓器の異常な形,大きさ,硬さ,色,臭い
- ひな白痢およびその他のサルモネラ病
- 著しい削痩および発育不良
- 原虫病(トキソプラズマ病を除く)
- 腫傷(マレック病および鶏白血病を除く)
- 生物学的製剤の投与で著しい反応を呈した場合
- 湯漬過度
- 中毒諸症(人体に有害の恐れあるものに限る)
- 潤滑油または炎性産物などによる汚染
- 異常体温(43℃以上、または40℃未満に限る、日射病または熱射病を含む)
食卵の衛生
1)卵の汚染抵抗機構
- a.卵殻表面のクチクラ層
- b.殻(主に炭酸カルシウム)
- c.卵殻膜(ケラチンの網目をムチンとアルブミンが充填)
- 内外2層から成り、2層間にできる気室は水分蒸発で大きくなる
- d.卵白(外水様卵白、濃厚卵白、内水様卵白、カラザ層から成る)
- 卵黄はカラザで中央に保持される 卵が古くなると濃厚卵白は水様化する
- <卵白に含まれる微生物防御物質>
- リゾチーム グラム陽性菌の細胞膜中の多糖類を分舛し溶菌
- コンアルブミン Fe と結合し、微生物の増殖阻止
- オボムチン インフルエンザウイルスの赤血球凝集反応を阻害
- オボインヒビター 細菌や糸状菌のプロテアーゼの作用を阻害
- アビジン ピオチンと結合して微生物の発育を阻止
- オボムコイド トリプシン阻害活性あり
- e.卵黄(リンが多く、リボ蛋白として存在)
2)卵の品質と鮮度検査
- a.外観検査、b.透光検査、c.割卵検査
- 卵の鮮度の指標
3)食卵に起因するひとの健康障害
- a.病原微生物によるもの
- b.アレルギー様障害
- 卵白中に含まれるオボムコイド、アビジンによって蕁麻疹・喘息といったアレルギー性疾患を起こすことがある
- c.コレステロールの問題
- d.卵中移行の有害物質
項目 |
新 鮮 |
古 い
|
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卵の比重(殻付卵) |
重い |
軽い
|
卵黄係数(割卵後) |
高い |
低い
|
ハウ単位(割卵後) |
高い |
低い
|
卵白係数(割卵後) |
高い |
低い
|
最終更新: 2016年2月26日 (金) 06:42