☆内分泌とは化学物質が分泌細胞から血液中に放出される現象で、神経系と共に生体の機能を調節する調節系である。
(1)細胞間伝達の諸型
- 生理テキストより
- 自己分泌(autocrine):分泌物が分泌細胞自身に局所的に作用。(ex.神経細胞)
- 傍分泌(paracrine):組織間液、細胞間を介して分泌物が近隣の細胞に作用。(ex.膵、消化管)
- 神経系(neural):神経伝達物質が近隣のニューロンに作用。(ex.神経系)
- 内分泌系(endocrine):分泌物が血液中へ放出され、遠隔の細胞に作用。(通常の内分泌腺)
- 神経分泌(neurosecretory):ニューロンが分泌物を血液中へ放出する。(ex,視床下部ニューロン、副腎髄質)
(2) ホルモンの生合成と放出
a.ステロイドホルモン(副腎皮質、精巣、卵巣、腎臓から)
低密度リポ蛋白(LDL)はステロイド産生細胞の細胞膜受容体に結合し細胞内に取り込まれる。
→リソソームに含まれる酵素の作用でコレステロールが遊離する。
→コレステロールはミトコンドリア内でプレグネロンになる。
→プレグネロンは滑面小胞体でそれぞれのステロイドホルモンに変換。
→貯蔵機構はなく、細胞膜を通過して拡散分泌。
☆疎水性なので血中ではAlbなどの輸送蛋白と結合して運搬される。
b.ペプチドホルモン(視床下部、下垂体、肺、膵臓、甲状腺、上皮小体から)
通常の蛋白合成過程と同様に、mRNAから翻訳されたプレプロホルモンは粗面小胞体に入り、シグナルペプチドを分離してプロホルモンとなる。
→プロホルモンはゴルジ装置に運ばれ、蛋白分解(プロセッシング)、糖鎖付加、アセチル化、アミド化などされて生理的活性を持ったホルモンになる。
→分泌顆粒として細胞内に貯留され、特定のシグナルに応じて開口分泌により放出。
☆開口分泌にはCa2+とATPが必要で、細胞質内でのCa2+の増加は細胞外からの流入により生じる。
c.アミン型ホルモン(副腎髄質、交感神経、松果体、甲状腺から)
- カテコールアミンはフェニルアラニンまたはチロシンを基質として、これらのアミノ酸の水酸化および脱炭酸によりドーパミン、ノルアドレナリン、アドレナリンが生成される。
- 甲状腺ホルモンはチロシンを基質として、これをヨウ素化して産生される。疎水性なので輸送蛋白に結合して運搬される。
- メラトニンはトリプトファンを基質とする。
→上記内容はゴルジ装置で分泌顆粒として貯蔵され、開口分泌により放出。
(3)ホルモンと受容体
a.細胞内受容体
ステロイドホルモン(副腎皮質ホルモン、性腺ホルモン、甲状腺ホルモン)
- 疎水性により細胞膜を通過し、細胞内/核内受容体と結合
→ホルモン受容体複合体が核内に移行
→遺伝子DNA上のホルモン応答エレメント(HRE)と結合
→mRNAへの転写を促進し、遺伝子の活性化を調節
b.細胞膜受容体
多くのアミン型ホルモンとペプチドホルモンは水溶性であり、細胞膜を透過できないので細胞膜受容体と結合し、それがシグナル変換器として働いてセカンドメッセンジャー(cAMP,IP3, Ca2+等)を介して情報伝達が行われる。
- G蛋白質共役型受容体
- cAMP*蛋白キナーゼA系:AC→cAMP→PKA
- ジアシルグリセロール*蛋白キナーゼC型:PLC→IP3→Ca2+放出→CaMK→DG→PKC
- 酵素共役型受容体
一回膜貫通型の蛋白で、多くは蛋白リン酸化酵素(キナーゼ)活性を有する。チロシンをリン酸化するチロシンキナーゼ型(ex.インスリン)と非チロシンキナーゼ型(ex.成長ホルモン、プロラクチン)に大別される。