- 血清タンパク
- 血漿からフィブリノゲンを除いたもの。溶解度法、超遠心法、電気泳動法により分析される。
タンパク質は100種類以上あるが臨床的意義のあるものは30数種にわかり判明している。またタンパク質はその分子量と電荷などから以下のように区画され整理されて理解されている
- アルブミン分画
- α1分画
- α2分画
- β分画
- γ分画
血清タンパクでなにがわかるのか?
- 栄養状態や水和状態、肝臓などの状態を教えてくれる(あくまで指標だが)
- アルブミンやグロブリンが問題なくても電気泳動で分画をチェックすると分画が異常なことがある→例えば多発性骨髄腫では経験あるせんせいもいるかと思います。
血清vs血漿
血清と血漿では前者に凝固因子が入っているため凝固系によりフィブリンが絡まって遠心で落ちるので血清に含まれなくなる。
まとめると
- 血漿は→血清+フィブリン
- 血清の中に→グロブリンとアルブミンが含まれている
よって血清タンパク-アルブミンがグロブリンの値である。血漿で測った場合フィブリンが含まれているが近い値がでてくる。
高蛋白血症VS低蛋白血症
高蛋白血症
主にグロブリンの増加が多い
- 血液濃縮(アルブミンが増加する傾向)
- 血液濃縮時以下の内容に注意
- アルブミン、グロブリン両方増加していないか?Hct上昇していないか?(赤血球増多で見かけ上高いなど)、腎前性高窒素血症がないか?高張尿ではないか?電解質に異常がないか?
- 血液濃縮時以下の内容に注意
- 蛋白合成の増加(主にグロブリンの増加)
- 炎症疾患(だいたい多クローン性ガンマグロブリン血症)→炎症性メディエーターがAlb合成↓とGlob合成促進↑
- 感染:細菌、ウィルス、真菌など
- 非感染性疾患:腫瘍、免疫疾患
- Bリンパ球性腫瘍(だいたい単クローン性ガンマグロブリン血症)→必ずとは言えないのが・・・診断基準毎回確認してくださいね〜
- 形質細胞:多発性骨髄腫、形質細胞腫
- リンパ球:リンパ腫、リンパ球性白血病
- 炎症疾患(だいたい多クローン性ガンマグロブリン血症)→炎症性メディエーターがAlb合成↓とGlob合成促進↑
- グロブリンが増加しているとき以下に注意
- 多くの蛋白質が混在
- 免疫グロブリンもこれに含まれる
- 蛋白分画でα、β、γに分けられる
- 多くはγグロブリン(主に免疫グロブリン)の増加が原因
- 単クローン性?多クローン性? ⇒蛋白分画で判断できる
低蛋白血症
- 主にアルブミンの低下が多い
- アルブミンの半減期は8日。アルブミンが少なくなっても貯蔵組織から再充填される。→一週間絶食でもアルブミンは低下しない
- よって臨床現場で急性期の症状でアルブミンが低下しても栄養性が原因であるとは通常考えない(しかし常識に苦しむ先生も多いが)
- 軽度な低下はさまざまな病態で起こる
- 重度低下は、肝疾患(合成低下)・蛋白漏出性腎症(アウトプット増加)・蛋白漏出性腸症(アウトプット増加)で発生
- 蛋白漏出性腸症→消化器型リンパ腫、リンパ管拡張症、炎症性腸疾患(IBD)
- アルブミンは以下の機能を持つ
- 血液膠質浸透圧→血管内はどこでも膠質浸透圧(25~28mmHg)でありアルブミンにより形成される。常に動脈では膠質浸透圧より圧力が高いが静脈内は膠質浸透圧より静脈圧の方が低い。要するに動脈側と静脈で逆転するので組織中の水が回収できる。浮腫は膠質浸透圧が低くなり組織中から水が回収できなくなる状態である。
- 薬剤・Ca・脂肪酸輸送に重要
- アミノ酸のプールとしての機能(筋肉などでアミノ酸に)
- まとめると血管内に血液を保持し、輸送蛋白として働き、変身して作り替えられる材料となる
- 血栓症に注意!(特にステロイド治療)
- 膠質浸透圧の計算式
- 6.0×AIB+1.5×globもしくは5.23×血漿総蛋白質
- 正常値は25-28mmHg
- 20mmHg以下もしくはALB1.5g/㎗以下で肺水腫に注意する
余談
尿スティックのタンパク質検出は主にアルブミンに反応しています。よってアルブミン分画以外(例えばBence Jonesタンパク→熱沈殿法もしくは免疫電気泳動で検出)は検出できてないと考える。